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    ╋■╋■╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ■╋■╋ スポットライト・コラム
    ╋■╋   ―干支と和暦日とユリウス暦日を結びつけた月日対照表
    ■╋                      『古代中世暦』
    ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     みなさまの中で、『日本書紀』や『続日本紀』など有名な史料でも、
     その原文をご覧になったことのある方は意外に少ないのではないで
     しょうか。紀伝体(エピソード中心)で書かれた『古事記』などと
     は異なり、『日本書紀』をはじめとする六国史は編年体(年月日順)
     で記述されています。例えばこんな具合です。

     (天平四年より)
      六月丁酉。新羅使還……
      己亥。此夏陽旱。百姓不佃。……

     このなかで「六月」はわかります。「丁酉」とか「己亥」もどこか
     で見たことがありますね。そう、「干支」っていうやつです。日本
     は中国の暦法の影響下にあり、昔から(そして今も)一日一日に対
     して「干支」を振りあてています。ですから上の文章は「6月の丁
     酉の日に新羅の使いが帰っていった」「同じ月の己亥の日、この夏
     は日照りなので……」というように、「干支」によって日付を表現
     しているのです。

     さて当然「丁酉」とは何日を指すか? 「己亥」とは何日のことか?
     
     という疑問が生じます。ところがこれは100%確定させることはでき
     ないことなのです。この時代の暦の対照表などというものは同時代
     史料としては残っていませんから。しかし実は史料の中に大きな手
     がかりがあります。例えば何行か前にこんな文章があります。

      夏五月壬寅朔。正六位下物部依羅連人會賜朝臣姓。

     「5月の壬寅の日、この日は“ついたち”で、正六位下の物部さん
     が…」という記述です。つまり、これによって5月1日は「壬寅」と
     いうことが確定できるわけです。ご承知のように「干支」は60種類
     が規則的に繰り返しますから、こういう記述があると、その周辺の
     日付は確定できるのです。また時代ごとに使われていた暦法の計算
     をできるだけ復元すると、大の月、小の月、閏月などもある程度わ
     かります。これらを組み合わせることによって、「日付」と「干支」
     をかなりの確率で結びつけることができるのです。

     かつて『日本暦日原典』(内田正男編、1975年、雄山閣出版)とい
     う、暦本としては画期的な書籍が刊行されました。この本は古史料
     における朔日の干支表記を徹底的に調査した労作で、今も古暦に関
     してはスタンダードとされています。ただ記述内容はかなり専門的
     で、朔日の干支だけが記載されているので、それ以外の日は数えて
     いかなくてはなりません。また現在では古書市場でも入手がとても
     難しくなっています。

     このたび小社より刊行した『古代中世暦』は、推古天皇即位の年
     (593年)から、天正10年(1582年)までの990年間にわたり、すべ
     ての日について「干支―和暦日―ユリウス暦日」を結びつけた月日
     対照表です(ちなみに天正10年(1582年)は、西欧でグレゴリオ暦
     が採用され始めた年で、日本では本能寺の変がありました)。

     本書の制作にあたっては、まず時代ごとに暦法の機械的計算(これ
     も多くは推定値に基づくので、かなり揺れがありますが)を行い、
     次にその結果のうち朔日について、上記の『日本暦日原典』の記述
     と照合していきした。そして異動に関しては古史料の該当箇所周辺
     で確認し、不明な所や『日本暦日原典』と異ならせた点などを、巻
     末に列挙して解説しています。

     たとえば本書の70ページを見ると、上記の天平四年六月について、
     「丁酉」は6月26日で、「己亥」は6月28日のことだった、それはユ
     リウス暦では732年7月22日(火)と24日(木)だった、ということが、
     すぐにわかります。史料を解読する際に、「いつ?」ということは
     極めて基本的なことです。

     小社では『日本暦西暦月日対照表』『20世紀暦』『21世紀暦』を刊
     行してきました 。本書は、これらの前の時代に遡るもので、これに
     より、古代から2100年までの暦表が揃ったことになります。本書を
     手軽に使える基本ツールとしてお役立て頂ければ幸いです。

                           (編集局・尾崎)

    『古代中世暦―和暦・ユリウス暦 月日対照表』
     日外アソシエーツ〔編〕 2006.9 A5・510p 
      定価5,250円(本体5,000円) ISBN:4-8169-1998-8

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