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■╋■╋ スポットライト・コラム
╋■╋ ― 日本全国の新旧名所を総覧
■╋ 『事典・日本の観光資源』
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国土交通省の外局「観光庁」の10月設置が決まりました。2001年の省
庁再編以来7年ぶりの外局の設置に注目があつまっています。主な政
策は「海外からの旅行者誘致」と言われていますが、旅行者数を増加
させるためには国内の観光資源の確認・再発見が必要となりそうです。
すでにいくつかの地方自治体では、観光庁設置に照準を合わせ、観光
課を観光局に再編したり、特別室を設けたりしていると聞きます。
そうした観光振興政策が推進されるなか、必然的に生まれてくる問い
が「日本全国にはどのような名所があるの?」との問いではないでしょ
うか。その問いに答えようとする際、大いに役立つものが「◯◯100
選」や「三大◯◯」などと名数で呼ばれる◯◯選(以降、名数選)で
す。
本書『事典・日本の観光資源』は、官公庁・政令指定都市や財団法人
が選定した公共の名数選を中心に、民間の百選も一部含めて242種類
の約15,000件を収録。「日本三景」や「日本三名園」はもちろんのこ
と、「かながわの公園50選」「さくら名所100選」「東海道五十三次」
「名水百選」なども掲載しています。本書の構成は「第一部 地域別
一覧」と「第二部 選定別一覧」の二部構成ですが、最大の特徴は第
一部の地域別一覧にあります。これまで
「日本三景といえば松島、厳島(宮島)、天橋立」
「日本三名園といえば偕楽園、兼六園、後楽園」
のように名数選は、よく選定ごとに語られてきました。しかしながら、
いったん天橋立のある京都府宮津市に、他にどのような名所があるの
かを調べようとすると、必ずしも簡単ではありません。本書はそうし
た問題を解消し、
「旅先での近場の名所を調べたい!」
「近所に意外な観光の穴場はないだろうか?」
などの要望にこたえるため、地域別一覧を主体としたところに特徴が
あります。実際に201頁の宮津市をひもといてみると
宮津市
◇天橋立 ⇒「関西自然に親しむ風景100選」
「日本三景」「日本十二景」「日本の渚・百
選」「日本の白砂青松100選」
◇天橋立・海を渡るみち ⇒「美しい日本の
歩きたくなるみち500選」
◇天橋立駅(北近畿タンゴ鉄道宮津線) ⇒「近
畿の駅100選」
◇天橋立線 ⇒「日本の道100選」
◇磯清水 ⇒「名水百選」
◇大フケ湿原およびその周辺湿地 ⇒「日本
の重要湿地500」
◇金引の滝 ⇒「日本の滝100選」
◇丹後半島沿岸~若狭湾(西部) ⇒「日本の
重要湿地500」
◇成相寺(第28番) ⇒「西国三十三箇所」
◇日本三景 天橋立 ⇒「美しい日本の歴史的
風土100選」
◇宮津街道 ⇒「歴史の道100選」
とあり、宮津市には天橋立の他にもいくつかの名所をみつけられます。
一方、第二部の選定別一覧では、名数選の概要や由来、選定期間、選
定時期、名称、所在地を掲載しました。例えば、上記の天橋立駅は
「近畿の駅100選」に選ばれていますが、394~396頁には
近畿の駅百選
“あの駅この駅すてきな駅”をキャッチフレーズ
に「鉄道の日」(10月14日)の記念行事の一つと
して、国土交通省近畿運輸局が実施(2001年1月
5日までは運輸省、2001年1月6日から省庁再編
により国土交通省)。2000(平成12)年から4年
間かけて、推薦があった駅の中から毎年25駅を
選定。
[選定期間]「近畿の駅百選」選考委員会
[選定時期]2000(平成12)年~2003(平成15)年
(後表略)
と概要などのあとに表を示して、天橋立駅が大阪駅や京都駅、六甲山
上駅などとともに「近畿の駅百選」に選ばれていることがわかります。
余談ですが、試しに私の出身地と現住所の付近を調べてみたところ、
徒歩10分圏内に「ふるさといきものの里100選」「かながわの橋100選」
に選ばれた場所がありました。知られざる意外な観光名所を探すこと
もできます。
ふるさとを想うとき、近くの名所に行ってみたいとき、旅に出て放浪
したいとき、レファレンスで地域の名所を紹介するときなどに、ぜひ
一度手にとっていただきたい一冊です。
(編集部・小森)
◆ 『事典・日本の観光資源―◯◯選と呼ばれる名所15000』
日外アソシエーツ〔編〕
定価 8,400円(税込) A5・590p 2008年1月刊
ISBN:978-4-8169-2086-8
http://www.nichigai.co.jp/sales/2086-8.html
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