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     ╋■╋■╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■╋■╋ スポットライト・コラム
     ╋■╋    ―
    ■╋        『読んでおきたい名著案内 教科書掲載作品13000』
     ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     大学は文学部で学びましたが、史学専攻だった私は文学少女と言うに
     はほど遠く、読む本と言えば歴史の研究書がほとんど。しかし、そん
     な私でも「羅生門」「檸檬」などの内容は知っていますし、覚えてい
     る漢詩や詩歌もいくつかはあります。それは、高校の国語の授業で習っ
     たから。各社が知恵を絞って選んだ作品はどれも鑑賞に堪えうる名作
     揃いで、教科書は名著の宝庫と言えます。私のような者にとって、国
     語の授業は名作文学に触れる貴重な機会でした。誰にでも記憶に残っ
     ている作品や文章が少なからずあるのではないでしょうか。

     おぼろげな記憶を頼りに、どんな作品が掲載されていたかを知りたい
     と思っても、それを調べるのはなかなか容易なことではありません。
     一般の図書館では教科書を収蔵していませんし、過去の教科書内容が
     簡単に一覧できるような便利なツールもこれまでありませんでした。
     作品が教科書に掲載されるような作家というのはたいてい膨大な作品
     を発表しているので、「おそらくこれ」という勘だけを頼りに、全集
     や目録などから探すのが大変な労力を要することは想像に難くないで
     しょう。

     本書は、高校で教鞭を執りながら高校国語教科書内容のデータベース
     化に取組んでおられる阿武泉さんのご協力を得て、戦後の国語教科書
     に掲載された小説、戯曲、評論、随筆、詩、短歌、俳句、古文、漢文
     などの作品を網羅した初の書籍です。誰の、どんな作品が、どの発行
     所の、何年の教科書に掲載されていたかを一覧でき、またその作品を
     読むことの出来る書籍の情報も掲載しています。

     先ほど例に挙げた芥川龍之介の「羅生門」を調べてみますと、1957年
     の初出以来、20社近くの約170冊に採用され、現行の教科書にも掲載
     されていることが分かります。ついでに他にはどんな芥川作品が採用
     されているのかを少し見てみましょう。
     (以下内容抜粋 「 」が作品名、◇以下が書籍名、[ ]以下が教
     科書名と使用開始年)

      「或る阿呆の一生」
      ◇ザ・竜之介 第三書館 2000
      [筑摩]「高等学校用現代文 二訂版」'89,「現代文」'95,
          「現代文 改訂版」'00

      「襟巻のまま召したまへ…」
      ◇芥川竜之介全集 第19巻 岩波書店 1997
      [筑摩]「新編 国語2」'92

      「おぎん」
      ◇ザ・竜之介 第三書館 2000
      [筑摩]「展望現代文」'05

      「枯野抄」
      ◇芥川竜之介 筑摩書房 2007
      ◇或日の大石内蔵之助・枯野抄 他十二篇 岩波書店 2004
      [尚学]「高等学校新選現代文」'83,
          「高等学校新選現代文 改訂版」'86,
          「新選現代文 三訂版」'89,「新選現代文 四訂版」'92,
          「新版 現代文」'96
      [筑摩]「新編 現代文」'90
      [中央図]「新現代国語 2」'74
      [中教]「高等国語総合編 三年上」'56
      [日栄社]「現代文要選」'57
      [明治]「現代国語 二」'64,「改訂 現代国語 二」'67,
          「現代国語 二 三訂版」'71,「現代文」'83,
          「現代文 新修版」'86,「現代文 新訂版」'89,
          「現代文 二訂版」'92

      「煙管」
      ◇羅生門・鼻・芋粥 角川書店 2007
      [書院]「現代国語 一」'63,「高等学校現代国語 2」'67

      「咳一つ赤子のしたる夜…」
      ◇芥川竜之介全集 第10巻,第20巻 岩波書店 1996,1997
      [学図]「基礎国語」'95


     古いところでは'60年代にだけ採用されていた「煙管」、最近では2005
     年採用の「おぎん」などが見えます。私のような者にとっては聞き馴
     れない作品ですが、教科書に採用されたとなると、どんな内容なのか
     ちょっと気になりますね。それから小説だけでなく、「咳一つ赤子の
     したる夜…」「襟巻のまま召したまへ…」などで始まる俳句も採用さ
     れているようです。これらの俳句は全集の第10・20巻と第19巻にそれ
     ぞれ収録されていることも本書から分かりますので、掲載書籍を探す
     手間が省けます。

     作家名は分からないけれど、作品名なら分かるという場合には、巻末
     の作品名索引をお使い下さい。「谷崎(潤一郎)作品って読んだこと
     ある?」「はい、『走れメロス』なら」と言った人を私は知っていま
     すが、そんな人でもこの索引を使えば大丈夫!谷崎潤一郎の項には載っ
     ていなくても、索引から無事に太宰治の項にある作品を探し出すこと
     が可能です。(当メルマガ読者の中にはこんな方はいらっしゃらない
     と思いますが…。)

     この他にも、「こころ」(夏目漱石)、「舞姫」(森鴎外)、「山月
     記」(中島敦)などが数十年に渡って採用されている定番であること
     が分かりますが、これまでにこれらの作品が掲載された教科書数の膨
     大さには驚くばかりです。一方、最近では「ナイン」(井上ひさし)、
     「レイニー河で」(ティム・オブライエン著/村上春樹訳)、「草之
     丞の話」(江國香織)、「ももこのいきもの図鑑」(さくらももこ)
     など、現代作家や女流作家による作品の採用も増えてきているようで
     す。本書のページをめくると、時代の流行や社会背景などを反映しな
     がら移り変ってきた国語教科書の変遷が垣間見え、年代によってどん
     な作品で国語を学んだのかを知ることも出来ますよ。

     名著を知るための手引きとして、懐かしい作品を探すためのツールと
     して、司書の方はもちろん、一般の方におすすめできるだけでなく、
     高校の国語教育研究や、作家・作品研究のためのデータとしても使え
     る、中身の濃い一冊です。
                             (編集部・吉本)

      ◆ 『読んでおきたい名著案内 教科書掲載作品13000』
        阿武泉〔監修〕
        定価 9,800円(税込) A5・920p 2008年4月刊
            ISBN:978-4-8169-2097-4

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