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スポットライト ―西洋美術作品レファレンス事典
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◆美術館巡りとルソーの女神
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芸術の森、上野の近くに住んだ影響からか、にわかにアートの素晴ら
しさに目覚め、最近せっせと美術館を訪れるようになりました。
美術鑑賞の相棒はいつも決まって同じ友人です。
ある時、ある美術館でのこと。友人が突然一枚の絵の前でぴたりと止
まりました。
どうも前から好きだった絵に遭遇したようで「この絵が見られるなん
て」と感動しています。
でも時刻は閉館間際。ゆっくり鑑賞することはできませんでした。
その時一度見た限りですが、その作品がどうも気になるのです。
淡いピンクと水色の色彩、空にぽっかりと翼をもった女神(?)が
浮かんでいたはず。
そんなに前のことではないのですが、いつも美術鑑賞はこの友人と
一緒なこともあり、どこの美術館だったか思い出せません。
上野?目黒?ひょっとしたら2年前に旅行したドイツだったかも…。
友人に聞いてみると、その絵はアンリ・ルソーの作品だそうです。
作品名を尋ねると、「わからない」とのお答え。
好きな絵だったんじゃないの?とつっこむと、「あまりに長すぎて
覚えられない。『なんとかの女神』みたいな感じ」とのこと。
折しも芸術の秋。ふと思い出して、この10月に日外から刊行された
ばかりの『西洋美術作品レファレンス事典 絵画篇 19世紀印象派
以降』のルソーのページをパラパラとめくってみました。この事典
は、ある作品がどの美術全集に収められているか、作家ごとに一覧
できます。
たいした手がかりもないので、ぼんやり見ていたのですが――あり
ました。
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『第22回アンデパンダン展に芸術家たちを参加するように招く
自由の女神』
La liberte invitant les artistes a prendre part a la 22eme
exposition des Artistes independants
「現代世界の美術アート・ギャラリー14」集英社 1985
◇図50(カラー)カンヴァス;油彩;175×118;1906;
〔東京国立近代美術館〕
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やたら長いタイトル。女神。
…絵のサイズからしても、これです。これに間違いないでしょう。
運命的なものを感じつつ、掲載全集名・巻号、出版者、図版番号を
メモしました。早速、友人にも知らせてあげようかな。
ちなみに「アンデパンダン」はカタカナでこう書くと何のことだか
よくわかりませんが、フランス語の「independants」です。パリの
アンデパンダン展は、「無審査、無賞、自由出品」という原則の下、
権力に左右されない若手作家の自由な活動の場として実施されまし
た。日本でも「アンデパンダン」を冠する展示会は少なくないよう
です。
それにしても所蔵先はドイツでもなく上野でもなく竹橋の「東京国立
近代美術館」と記載されています。ここはつい最近はじめて訪れたは
ずなのに…。深い謎に包まれつつ、アートに魅了されるこの頃です。
(大橋)
◆『西洋美術作品レファレンス事典 絵画篇 19世紀印象派以降』
日外アソシエーツ編
2005.10刊 定価89,250円(本体85,000円) B5・1,490頁
4-8169-1945-7
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