戦国武将が若い女性に人気だそうです。歴史ドラマや漫画、ゲームなど
のキャラクター(イメージ)がブームの発端みたいですが、にわか歴史
オタクを表す“歴女”なる呼び名も生まれ、2009年度新語・流行語大賞
トップテンに選ばれています。
きっかけは何であれ、歴史上の人物に興味を持ち、色々と調べてみたり、
縁の史跡を訪れたりして、若い世代が日本の歴史に通じていくのは大い
に結構なことではないでしょうか。
“歴女”の好きな戦国武将ランキングの上位には、真田幸村、伊達政宗、
石田三成などが名を連ねます。政宗の忠臣、片倉小十郎なんていうマイ
ナーな人物も人気が高いとか。実力はありながら天下を取れなかった悲
運の武将が好まれるようです。織田信長など、天下人を好む男性とはち
ょっと傾向が違うんですね。
さて、創作の世界で現代的イケメンに仕立てられた武将の歴史的肖像は
どんなものだったのか。これを調べるのに役立つのが小社『歴史人物肖
像索引』です。人名事典、歴史事典、百科事典、県史誌、美術全集、写
真集など967冊に掲載された日本史上の人物5,048名の肖像画・彫刻・写
真などの図版20,102点を人名から引くことができます。生没年、身分、
職業など人物同定ができる情報も記載されています。
先の「片倉小十郎」を引いてみると、「片倉景綱」で載っていました。
Wikipedia の情報によると、片倉景綱は仙台藩片倉家の初代で、通称
「小十郎」。伊達家の家臣で、長年、政宗の軍師役を務めました。
> 片倉景綱 かたくらかげつな 1557~1615
> 安土桃山時代、江戸時代前期の武将。
> ◇宮城県百科事典(河北新報社 1982) ▽片倉小十郎景綱
> 『歴史人物肖像索引』p140より
歴史人物の肖像を調べようと思った時、プロフィールを調べる時のよう
に簡単には見つからないものです。これは、肖像を掲載していない人名
事典が多いため。また、大和絵や浮世絵に描かれた肖像は、事典よりも
美術全集に収録されていることが多く、都道府県ごとの歴史事典や県史
誌にのみ掲載されている肖像もあります。本書は、このように様々な資
料に掲載された肖像の所在をまとめて効率よく人名から検索できる優れ
もの。肖像調査にご活用ください。
ところで、個人的に好きな武将は、「三成に過ぎたるものが二つあり
島の左近と佐和山の城」 とうたわれた、男気のある智将、島左近です。
ご存知、石田三成の重臣ですが、その生涯については謎が多く、本書
にも載っておりませんでした。残念。
(竹)
「歴史人物肖像索引」
日外アソシエーツ〔編〕 A5・540p 2010.2刊
定価19,530円(本体18,600円) ISBN:978-4-8169-2232-9
http://www.nichigai.co.jp/cgi-bin/nga_search.cgi?KIND=BOOK1&ID=A2232