上野の東京国立博物館で大盛況だった「国宝 阿修羅展」。現在、九州
国立博物館で開催中(9月27日まで)ですよね。さて、この阿修羅像を
美術全集でじっくりと鑑賞したいと思った時、ちと厄介なのは仏像の名
称です。
たとえば、国指定文化財データベースを「阿修羅像」で検索しても全く
ヒットしません。というのも、正式には「乾漆八部衆立像」(奈良・興
福寺)と言い、八体の仏像の中の一つなのです。
小社『仏像レファレンス事典』は「八部衆」を知らなくても「阿修羅」
という仏名から「どの美術全集に収められているか」簡単に引くことが
できます。
全体を「如来」「菩薩」「明王」「天部」「阿羅漢」「神仏習合の像」
「その他の仏像」に大別、その下を「釈迦如来」「釈迦三尊」「阿弥陀
如来」などの仏名ごとに分類しているので、容易に辿れるのです。「阿
修羅」は「天部」の下に立項されています。
また、国宝作品には、下記のような来歴・特徴の解説も載っており、本
書だけで、ある程度の概要がつかめるようになっています。
> 阿修羅 あしゅら
> 八部衆の一つで、インド神話でインドラ神と争う悪魔・鬼神が仏教
> に取り入れられ鬼神となったもの。六道の一つでは、常に戦い合う
> 世界の存在をいう。インド神話では、善神との戦いで大量の血を吐
> き、血に染まった肢体が、褐色の岩の頂のように累々と横たわった
> とされ、そこから戦闘の行われる場所を修羅場(しゅらば)と呼ぶ
> ようになった。
>
> 興福寺
> 阿修羅像(八部衆のうち)〔国宝〕
> 8世紀前半、天平時代前期の作。天平6年(734)に光明皇后が母橘
> 三千代の一周忌にあたり発願建立した西金堂にあった群像の中の
> 一体。十大弟子立像(国宝)と同様天平彫刻特有の脱活乾漆造り
> で彩色が施され、作者として仏師将軍万福(まんぷく)や画師秦
> 牛養(はたのうしかい)の名が古記録に見える。八部衆の中のこ
> の阿修羅像は、合掌する二臂と天空に大きく広げた四臂の配置が
> 大変印象的な三面像で、天平時代前期の代表的作品として有名で
> ある。
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『仏像レファレンス事典』2009年7月刊 定価47,250円(税込)
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