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<特集>日外アソシエーツ 新刊を斬る!
-名画を鑑賞する-
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「月刊 美術の窓」2005年2月号に拠ると、2004年の西洋美術の展覧会
では、国立西洋美術館開催の「マティス展」の入場者数が約45万人、
フェルメールの《絵画芸術の寓意(画家のアトリエ)》で話題を呼んだ
東京都美術館「栄光のオランダ・フランドル絵画展」は約30万人に及
ぶ入場者数をかぞえたそうです。美術品の鑑賞が余暇の過ごし方とし
て一般的になってきました。
さて、『西洋美術作品レファレンス事典 絵画篇 19世紀中葉以前』は
西洋美術鑑賞の一助となることを目的としたツールで、6月下旬に小
社より刊行の予定です。本書は1950年代から2003年のあいだに国内で
刊行された美術全集30種276冊を対象に、印象派以前の画家約1,000人
の作品14,376点を収録しています。印象派以降についても『西洋美術
作品レファレンス事典 絵画編 19世紀印象派以降』として今秋続刊の
予定で、2冊の合計では36種600冊を対象に、1,800人の作品37,000点
を収録する予定です。
ただし、本書を語る際に避けて通れないのが優れた類書の存在です。
それは東京都立中央図書館監修『西洋美術全集絵画索引』(日本図書
館協会発行、1999年)ですが、こちらは1950年から1997年までに刊行
された西洋美術全集51種に収録された絵画作品約46,000件について、
一冊でまとめています。
類書と本書2冊を比較してみると、本書では編集方針として本格的な
美術全集に絞って厳選したため、収録件数だけをみればやや見劣り
するところはあります。
しかし、本書では2003年までの最新データの収録に努めたり、画家
名・邦題名・原題名のみならず素材・技法・寸法・制作年・所蔵先・
図版(カラー/白黒の別)など詳細な情報を掲載したりしていますの
で、収録内容については自信をもっておすすめできます。
また、セールスポイントとしては邦題名索引・原題名索引を備えて
いることも挙げられます。あるモティーフについて、どのような画
家の作品があるのかがわかり、例えば《受胎告知》で邦題名索引を
引くと、フラ・アンジェリコなど約35名の画家による《受胎告知》
を見つけられます。調査・研究にも大いに役立つ書籍です。
本書を通じて一人でも多くの方に運命的な名画との出合いが訪れる
ことを切に願っております。
(小森)
◆『西洋美術作品レファレンス事典 絵画篇 19世紀中葉以前』2005.6刊
定価79,800円(本体76,000円) B5・約1064p ISBN4-8169-1925-2
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