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「レファクラ通信」(1日配信)のバックナンバー記事です。原則として、各記事は配信当時の内容です。リンク切れなど、予めご了承ください。 「レファクラ通信」の配信を希望される方は、事前に会員登録をお願いいたします。 レファレンスクラブの会員登録/退会は自由です(無料)。お名前と所属機関名、「会員希望」または「退会希望」と書いて reference-club@nichigai.co.jp までメールをお送りください。       
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     『図書館で使える 情報源と情報サービス』 木本幸子〔著〕
     ──────────────────────────────────
      定価2,310円(本体2,200円)  2010年9月刊行
      A5判・210ページ      ISBN 978-4-8169-2278-7
     【目 次】
      第1章 情報サービス
      第2章 情報源
      第3章 学問分野と情報源特性
      第4章 情報を見つけやすくするためには~情報の加工~
      第5章 データベース/Web情報の検索
      第6章 情報の利用~著作権と参照について~
      第7章 情報メディア
      付録(図書館法/学校図書館法/本の名称)

      司書の知識がない読者にも、わかりやすく具体的な記述。理解を助
      ける実践的な演習問題付きです。

      http://www.nichigai.co.jp/PDF/2278-7.pdf
    ----------------------------------------------------------------
     § 著者・木本先生より、ひと言 §
    ----------------------------------------------------------------
      図書館は「調べ物」をする場であり、「情報」を提供する場である。
     図書館を上手に活用するためには、情報源の種類とその特性や特徴を
     知り、図書館サービスの考え方、情報の役割、活用のための考え方と
     その仕組みを理解することが重要である。

      私たちが「情報」と言っているものの中には、「データ」や「知識」
     がある。「事実」を記録したものが「データ」である。「データ」に
     ある目的などの特定状況における評価や判断を加えたものが「情報」
     である。「情報」が蓄積され内容が体系的で固定しているものが「知
     識」である。これらの「情報」は、オリジナルな内容を記録した一次
     情報(Primary Sources)源として、必要なデータや情報を見つけやす
     くするための二次情報(Secondary Sources)源として、図書館に所蔵
     されている。

      的確なレファレンスサービスを行うためには、各種情報源を有効に
     活用することが重要で、そのためには、各種情報源の特徴を充分把握
     しておく必要がある。例えば「図書」は知識が体系的にまとめられた
     もの、「論文」は新しい研究成果が記録されている。二次情報源はレ
     ファレンスツールである。それぞれのツールは「何を」知るためのも
     のであるかが決まっている。例えば文献の書誌的事項を調べるものか、
     特定テーマの文献や記事を見つけるためのものか、住所を知るための
     ものか、特定の数字データを求めるものか、資料の所蔵を確認できる
     ものか、である。

      本書は、情報活用のための解説書である。各種情報源を活用できる
     ように、種類ごとに整理し、図表や事例を交えてわかりやく解説して
     ある。                      (木本幸子)

     

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    PR

    実務翻訳者である海野文男・海野和子ご夫妻が長年、仕事の中で蓄積し
    た実践的な辞書ファイルを「辞典」として日外アソシエーツから出版し
    たのが1994年のこと。以来、版を重ね、媒体を変えて “うんのさんの
    辞書”として親しまれてきました。

    その待望の最新版(第5版)が CD-ROM で発売になりました。制作・発行・
    発売元はプロジェクトポトスに移りましたが、小社のネットショップで
    も取り扱っています。

     http://www.tranradar.net/unno5.html

    この辞典は、海野さんが言われる通り、一冊目の基本辞書としてという
    よりも、ほかの英和/和英辞書と併せて補助的辞典として活用するのが
    お勧め。実際に英語圏で使用された文書や印刷物をもとに、実務翻訳者
    の視点でこつこつ集め、整理・編集した“生きた用例・文例”が最大の
    魅力です。

    以下、よく使われる表現を幾つか本文から抜粋してみます。
    ----------------------------------------------------------------
     みつもり【見積もり】
      ◆a generous estimate of... ~の多めの[大きめの, 《意訳》
       サバを読んだ]見積もり
      ◆submit a request for an estimate of the cost of doing...
       ~するコスト[費用]の見積もり依頼を出す[送信する]
      ◆make [prepare] an estimate of the amount required to <do...>
       ~するのに必要な金額の見積もりをする[作成する]
      ◆Call or write for quotes. 電話又は手紙にて値段見積もりご請
       求ください.

     てんぷ【添付】
      〔添付の~〕accompanying, attached, annexed, included,
       contained, bundled; 〔添付書類〕an annex; 〔電子メールの添
       付ファイル〕an attachment
      ◆reference materials accompanying [to accompany] software
       products ソフトウェア製品に添付されている[添付される]参
       考資料
      ◆reference materials attached to... ~に添付されている参考
       資料
      ◆Here I have attached...; Here I attached... ここに~を添付
       しました[します]

     google
      ◆To google a phrase, you put the phrase in quotation marks
       and search [look for] it on [in, using] Google. あるフレー
       ズをググるには, そのフレーズを引用符(" ")で囲ってからグー
       グルで検索します.

     Googleグーグル(*大手インターネットサーチエンジンの一つ)
      ◆If you do a Google search on my name, you'll find my website
        (www.hi-ho.ne.jp/unnos/unnodict.htm). 私の名前をグーグル
       検索すれ[ググれ]ば, 私のウェブサイト(www.hi-ho.ne.jp/unnos/
       unnodict.htm)が見つかります.
    ----------------------------------------------------------------

    新たに「google」が動詞として立項されてました。ググるは日英共通な
    んですね。ちなみに「twitter」という見出しはありませんでした。

    本製品には検索ソフトウェアは同梱されておらず、辞書データのみです
    が、EPWING 仕様ですので、沢山フリーウェアやシェアウェアが出てい
    ます。お好みのものを選んでインストールしてお使いください。

    ┌───────────────────────────────┐
    │「ビジネス技術実用英語大辞典 V5 英和編&和英編」(CD-ROM)      │
    │ 海野文男・海野和子著 発行・発売:合同会社プロジェクトポトス      │
    │ 価格11,760円(税込) ISBN 978-4-9905271-0-5 2010年8月発売      │
    └───────────────────────────────┘

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    4月9日、作家の井上ひさしさんが鎌倉市のご自宅で逝去されました。謹
    んでご冥福をお祈りします。実は小社から、井上さんと図書館にまつわ
    る単行本が一冊出ております。遠藤征広著『遅筆堂文庫物語―小さな町
    に大きな図書館と劇場ができあがるまで』です。

    本の蒐集が趣味という井上ひさしさん。蔵書の重みで家の床が抜けたと
    いう仰天エピソードもあるほどですが、本書は、その膨大な蔵書が生ま
    れ故郷の山形県川西町に寄贈され、1987年「遅筆堂文庫」という町の図
    書館(1994年「川西フレンドリープラザ」内へ移転)が誕生する軌跡を
    当事者が描いたドキュメンタリーです。その後も本の寄贈は続き、2010
    年現在、所蔵数はなんと22万冊に及ぶそうです。

     川西フレンドリープラザ「遅筆堂文庫」:
     http://www.plaza-books.jp/

    「遅筆堂」とは、自他ともに認める遅筆で有名な井上さんの自嘲的雅号。
    「丹念に資料を読み込み、膨大な資料にあたり、納得できる作品を生み
    出そうとすると筆が進まず…」と書かれています。

    特筆すべきは、企画からこの大事業の核になって頑張り通したのが、地
    元の無名のボランティアの若者たちだったこと。全ては若者の一途な情
    熱に端を発しました。

    著者の遠藤さんは、井上ひさしさんと同郷(川西町)。高校生の頃から
    大の井上ファンで、故郷で「井上ひさし講演会」を開きたい、という気
    持ちが高まり、地元の仲間と相談し、思案の末、半年かかって一通の長
    い手紙を書きます。「いかに井上ひさし様が好きか」を熱烈にアピール
    し、講演会を開きたいこと、でも、お金がないこと、そして「ふるさと
    川西町は嫌いですか」という挑発的な問いかけを盛り込んだそうです。

    5日後、作家から思いがけない返事が届きます。「小生が『羽前小松』
    (現川西町)を嫌っているなどは、ひどいデマです。」と書かれてあり
    ました。井上ひさしさんの郷土愛に訴えた作戦が見事に功を奏したよう
    です。1982年講演会は実現し、ここから作家と遠藤さんら地元の有志の
    青年たちとの交流が始まります。続きは本で。

      *  *  *

    「遅筆堂文庫」で面白いのは、本の分類がひと味違うところです。本書
    によると、司書資格を持ったスタッフの一人は「日本十進分類法」(NDC)
    がよいと主張しますが、「漠然とNDCは違う」と感じた遠藤さんは「作
    家のこだわりと本の分類は一致するのではないか」という仮説を立て、
    独自の分類方法で棚を構成します。個人の蔵書のみで作られた図書館な
    らではの発想ですね。

    たとえば、「E」は井上さんが選考委員を務める文学賞選考本だったり、
    「R」は執筆した作品ごとの参考文献であったり…。この分類表は172頁
    に出ています。そして、一部の本に書き込まれた赤線や付箋のメモは、
    そのままの状態で残してあるそうです。「遅筆堂文庫」の棚を眺めた
    来館者の、「大好きな井上ひさしの脳内を浮遊している気分」(p146)
    という感想が印象的です。

    『遅筆堂文庫物語―小さな町に大きな図書館と劇場ができあがるまで』
      遠藤征広〔著〕 B6・240頁 1998.6刊
      定価1,470円(本体1,400円) ISBN 4-8169-1496-X

    なお、『遅筆堂文庫物語』の社内在庫分は、小社の総発売元・紀伊國屋
    書店に出荷しています。ご希望の方は、そちらからお求めください。

     紀伊國屋書店 BOOKWEB:
     http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?KEYWORD=%92%78%95%4D%93%B0%95%B6%8C%C9%95%A8%8C%EA

                                 (竹)

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    戦国武将が若い女性に人気だそうです。歴史ドラマや漫画、ゲームなど
    のキャラクター(イメージ)がブームの発端みたいですが、にわか歴史
    オタクを表す“歴女”なる呼び名も生まれ、2009年度新語・流行語大賞
    トップテンに選ばれています。

    きっかけは何であれ、歴史上の人物に興味を持ち、色々と調べてみたり、
    縁の史跡を訪れたりして、若い世代が日本の歴史に通じていくのは大い
    に結構なことではないでしょうか。

    “歴女”の好きな戦国武将ランキングの上位には、真田幸村、伊達政宗、
    石田三成などが名を連ねます。政宗の忠臣、片倉小十郎なんていうマイ
    ナーな人物も人気が高いとか。実力はありながら天下を取れなかった悲
    運の武将が好まれるようです。織田信長など、天下人を好む男性とはち
    ょっと傾向が違うんですね。

    さて、創作の世界で現代的イケメンに仕立てられた武将の歴史的肖像は
    どんなものだったのか。これを調べるのに役立つのが小社『歴史人物肖
    像索引』です。人名事典、歴史事典、百科事典、県史誌、美術全集、写
    真集など967冊に掲載された日本史上の人物5,048名の肖像画・彫刻・写
    真などの図版20,102点を人名から引くことができます。生没年、身分、
    職業など人物同定ができる情報も記載されています。

    先の「片倉小十郎」を引いてみると、「片倉景綱」で載っていました。
    Wikipedia の情報によると、片倉景綱は仙台藩片倉家の初代で、通称
    「小十郎」。伊達家の家臣で、長年、政宗の軍師役を務めました。

    >   片倉景綱 かたくらかげつな 1557~1615
    >     安土桃山時代、江戸時代前期の武将。
    >    ◇宮城県百科事典(河北新報社 1982) ▽片倉小十郎景綱

    >                  『歴史人物肖像索引』p140より

    歴史人物の肖像を調べようと思った時、プロフィールを調べる時のよう
    に簡単には見つからないものです。これは、肖像を掲載していない人名
    事典が多いため。また、大和絵や浮世絵に描かれた肖像は、事典よりも
    美術全集に収録されていることが多く、都道府県ごとの歴史事典や県史
    誌にのみ掲載されている肖像もあります。本書は、このように様々な資
    料に掲載された肖像の所在をまとめて効率よく人名から検索できる優れ
    もの。肖像調査にご活用ください。

    ところで、個人的に好きな武将は、「三成に過ぎたるものが二つあり
    島の左近と佐和山の城」 とうたわれた、男気のある智将、島左近です。
    ご存知、石田三成の重臣ですが、その生涯については謎が多く、本書
    にも載っておりませんでした。残念。

                                 (竹)

     「歴史人物肖像索引」
      日外アソシエーツ〔編〕 A5・540p 2010.2刊
      定価19,530円(本体18,600円) ISBN:978-4-8169-2232-9
    http://www.nichigai.co.jp/cgi-bin/nga_search.cgi?KIND=BOOK1&ID=A2232

    拍手[0回]

    1982年に刊行が始まった小社・人物書誌大系シリーズも41巻目を迎え、
    装丁が一新されました。人物書誌大系とは、特定の個人に関する年譜+
    著作目録+参考文献目録の三部で構成される“個人書誌”の集大成シリ
    ーズ。ある人物が書いたものを探す場合と、ある人物に関する文献を探
    す場合の両方に対応しています。

    その最新刊の対象人物は、徹底した史料収集と綿密な現地取材に基づい
    た記録文学・歴史小説の名手「吉村昭」です。

    編者の木村暢男(きむらのぶお)氏は、吉村昭研究会会長。定年後、吉
    村昭に関する資料・著作の整理・研究に専念し、2000年~2006年まで毎
    年『吉村昭年譜』(私家版)を増補・改訂してきました。本書は、吉村
    昭の作品・エッセイ・対談など全著作(単行本未収録も含む)と、研究
    文献・記事・文庫解説などを網羅した、初の本格的書誌です。

    ここで『うなぎ』(今村昌平監督)として映画化された短編「闇にひら
    めく」を引いてみましょう。映画は原作とは大分違う設定ですが、1997
    年カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞しています。

    > 741 闇にひらめく
    >   ◎S53.7 「小説新潮」
    >   (収)H1.1 『海馬』新潮社
    >   *H2.1.14 「日曜名作座」NHKラジオ第1
    >   *H4.6 『海馬』新潮文庫
    >   *H9.5 原作の映画『うなぎ』がカンヌ国際映画祭で大賞を受賞
    >   *H9.5 ビデオ1巻 117分 ケイエスエス
    >   *H13.8 米国版ビデオ“EEL”

                      「II 著書・作品」p99より抜粋

    > 695 吉村 昭著 海馬(トド) 動物に映す人間の生
    >   ◎H1.2.12 「朝日新聞」書評
    >   *高橋英夫⇒『海馬』「海馬」「鴨」「闇にひらめく」「研がれ
    >    角」「螢の舞い」「銃を置く」「凍った眼」
    >   *H12.7 『小説は玻璃の輝き』高橋英夫著 翰林書房

                   「IV 書評・関連記事」p317より抜粋

    > 1166 吉村昭とその作品
    >   ◎H11.3 『この時代小説がおもしろい』櫻井秀勲著 編書房

                   「IV 書評・関連記事」p352より抜粋

    「闇にひらめく」の初出は昭和53年7月の「小説新潮」、初収録単行本
    は平成1年1月の『海馬』で、その後、文庫化されています。◎印は、編
    者が確認したことを示します。映画の前にラジオドラマ化されたことが
    あったんですね。また、高橋英夫氏や櫻井秀勲氏の書評・関連記事が出
    ていることがわかります。

    個人書誌をまとめ上げるには、大変な時間と労力、並々ならぬ情熱と根
    気が必要です。夫人の津田節子氏の序文によると「夫、吉村昭は、木村
    暢男氏が編まれた年譜が送られてきた時、初めは気味悪がっていた」ほ
    ど。本人がまったく忘れてしまっているものまで拾い上げられていて、
    その克明、詳細、正確なことに驚いていたそうです。

    吉村昭に関する資料を網羅的に調べたい時など、本書をご活用ください。

    そういえば、余談ですが、今秋、吉村昭原作の映画『桜田門外ノ変』が
    水戸藩開藩四百年を記念して公開されるみたいですね。

       「人物書誌大系 41 吉村昭」
         木村暢男〔編〕
         A5・470p 2010.3刊 定価19,110円(本体18,200円)
         ISBN:978-4-8169-2240-4
    http://www.nichigai.co.jp/cgi-bin/nga_search.cgi?KIND=BOOK1&ID=A2240

                                 (竹)

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    2010年2月27日未明、チリ中部でM8.8の大地震が発生しました。これは
    観測史上、5番目の規模だそうです。NASA の分析によると、地軸の傾き
    が約8センチずれたとのこと。もの凄いエネルギーです。死者は800人を
    突破し、500人以上が沿岸部で津波の被害を受けたようです。日本でも
    津波の影響が懸念されましたが、幸いなことに一部を除き、大きな被害
    はありませんでした。

    20世紀で最も大きかったのは、1960年5月22日に起きたM9.5のチリ地震
    です。この地震による津波が日本でも大きな被害をもたらしました。小
    社『地震・噴火災害全史』によると、北海道、三陸海岸を中心に死者・
    行方不明者142人、負傷者873人、家屋全半壊3,754棟、家屋流出1,259棟、
    船舶被害2,273隻という大災害だったそうです。

    「津波被害の特徴」の項には、以下のような生々しい描写があります。

    > 最大波高5.8mを記録した八戸港では早朝3時過ぎから夕方までに10波
    > が押し寄せ、中でも午前6時頃には押し寄せた数波の津波は湾奥にあ
    > る街を呑み込んだ途端、あらゆるものを巻き込みながら海岸線から
    > 300mも潮が引き、通常の3倍の広さの浜が姿を表したと思うと、次の
    > 津波が押し寄せて建物や船舶を破壊し、引き潮がその残骸を海中に
    > 引きずり込んでいった。……この津波の惨状について罹災者は押し
    > 寄せる波よりもあらゆるものを急速に海中にひきずり込む引き波の
    > 方が破壊力があったと証言している。
                          (pp.66-67より抜粋)

    津波被害の要因として、(1) 住民が就寝中の早朝であったこと、(2)
    体感地震ではないチリ地震の津波が日本まで到来するとは予測し得な
    かったこと、(3) 第一波が過ぎて警戒を解いた後の第二波以降の津波
    が大きかったこと、(4) 津波警報の発令が遅れたこと、が挙げられて
    います。

    この50年前のチリ地震を教訓に環太平洋諸国では津波早期警戒システ
    ムが確立され、地震、津波情報の共有化が図られることとなったそう
    です。

    が、今回の大地震でもチリ軍による津波警戒警報の発令が遅れたとの
    こと。寺田寅彦の「天災は忘れた頃に来る」という警句が頭をよぎり
    ます。

       「地震・噴火災害全史」
         災害情報センター,日外アソシエーツ〔共編〕
         A5・390p 2008.2刊 定価9,800円(本体9,333円)
         ISBN:978-4-8169-2089-9
    http://www.nichigai.co.jp/cgi-bin/nga_search.cgi?KIND=BOOK2&ID=A2089

                                 (竹)

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    テレビドラマの原作本のリクエストは、図書館の読書相談でも多いので
    はないでしょうか。作品名と原作名が一致していればまだいいのですが、
    これが違っていると、探し出すのがちょっと厄介です。たとえば、歴代
    のNHK大河ドラマを見ても、下記のように異なる例があります。

     「武蔵」(2003年)…   吉川英治『宮本武蔵』
     「北条時宗」(2001年)… 高橋克彦『時宗』
     「元禄繚乱」(1999年)… 舟橋聖一『新・忠臣蔵』
     「徳川慶喜」(1998年)… 司馬遼太郎『最後の将軍』
     「毛利元就」(1997年)… 永井路子『山霧』『元就、そして女たち』
     「独眼流政宗」(1987年)…山岡荘八『伊達政宗』
     「春の波涛」(1985年)… 杉本苑子『マダム貞奴』『瞑府回廊』
     「山河燃ゆ」(1984年)… 山崎豊子『二つの祖国』

    小社『テレビドラマ原作事典』は、こんな時に頼りになる心強いツール
    です。本文は作品名の50音順排列で、さらに「原作名」と「原作者名」
    からも引ける便利な索引が付いています。「山河燃ゆ」の本文を引いて
    みると、この通り。

    >  山河燃ゆ
    >   原作:山崎豊子「二つの祖国」
    >  「山河燃ゆ 祖国は緑なる山河 あたたかくもやさしき母なる大地。」
    >  (大河ドラマ) 1984.1.8~1984.12.23(全51回) NHK 日 20:00-
    >   20:45 演出:村上佑二、伊豫田静弘 脚本:市川森一、香取俊介
    >   出演:松本幸四郎、西田敏行
    >  【解説】日米が開戦し、アメリカにいた日本人移民の日系二世たちが
    >   どんな人生を歩んできたかを描く。時代劇路線を取ってきた大河ド
    >   ラマが初めて近現代を扱った一作。もともとは「昭和史を講談調で
    >   昭和講談ができないか」という、川口幹夫・放送総局長(当時)の
    >   アイデアがもとになっているという。原作にはない戦前からドラマ
    >   が始まり「平和の尊さ」をより鮮明に描き出した。
    >   ◇『二つの祖国』3 山崎豊子著 新潮社 2005.6 539p 20cm
    >    (山崎豊子全集18) 4300円 4-10-644528-X
    >    【目次】二つの祖国3 エッセイ:『二つの祖国』を書き終えて
    >   ◇『二つの祖国』2 山崎豊子著 新潮社 2005.5 515p 20cm
    >    (山崎豊子全集17) 4300円 4-10-644527-1
    >    【目次】二つの祖国2 エッセイ:出獄、越えられぬ壁、リュッ
    >    クサック
    >   ◇『二つの祖国』1 山崎豊子著 新潮社 2005.4 516p 20cm
    >    (山崎豊子全集16) 4300円 4-10-644526-3
    >    【目次】二つの祖国1 エッセイ:私の戦後 対談:小説ほど面
    >    白いものはない(松本清張、山崎豊子述)
    >   ◇『二つの祖国』上 山崎豊子著 新潮社 1986.11 263p 15cm
    >    (新潮文庫) 560円 4-10-110419-0
    >   ◇『二つの祖国』中 山崎豊子著 新潮社 1986.11 588p 15cm
    >    (新潮文庫) 600円 4-10-110420-4
    >   ◇『二つの祖国』下 山崎豊子著 新潮社 1986.11 612p 15cm
    >    (新潮文庫) 600円 4-10-110421-2

    原作が掲載されている図書が多数刊行されている場合、入手のしやすさ
    という観点から、原則として新しいものを数点掲示しています。

    映画に比べて消耗品のように扱われるテレビドラマを“原作”という
    切り口で編集・記録した本書は、資料的価値も大きいでしょう。ぜひ、
    図書館カウンターの傍らにお備えください。

       ◆テレビドラマ原作事典
        古崎康成・日外アソシエーツ〔共編〕 A5・1,000p 2010.1刊
        定価14,490円(本体13,800円) ISBN978-4-8169-2230-5

                                 (竹)

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    上野の東京国立博物館で大盛況だった「国宝 阿修羅展」。現在、九州
    国立博物館で開催中(9月27日まで)ですよね。さて、この阿修羅像を
    美術全集でじっくりと鑑賞したいと思った時、ちと厄介なのは仏像の名
    称です。

    たとえば、国指定文化財データベースを「阿修羅像」で検索しても全く
    ヒットしません。というのも、正式には「乾漆八部衆立像」(奈良・興
    福寺)と言い、八体の仏像の中の一つなのです。

    小社『仏像レファレンス事典』は「八部衆」を知らなくても「阿修羅」
    という仏名から「どの美術全集に収められているか」簡単に引くことが
    できます。

    全体を「如来」「菩薩」「明王」「天部」「阿羅漢」「神仏習合の像」
    「その他の仏像」に大別、その下を「釈迦如来」「釈迦三尊」「阿弥陀
    如来」などの仏名ごとに分類しているので、容易に辿れるのです。「阿
    修羅」は「天部」の下に立項されています。

    また、国宝作品には、下記のような来歴・特徴の解説も載っており、本
    書だけで、ある程度の概要がつかめるようになっています。

    >  阿修羅 あしゅら
    >   八部衆の一つで、インド神話でインドラ神と争う悪魔・鬼神が仏教
    >   に取り入れられ鬼神となったもの。六道の一つでは、常に戦い合う
    >   世界の存在をいう。インド神話では、善神との戦いで大量の血を吐
    >   き、血に染まった肢体が、褐色の岩の頂のように累々と横たわった
    >   とされ、そこから戦闘の行われる場所を修羅場(しゅらば)と呼ぶ
    >   ようになった。
    >
    >  興福寺
    >  阿修羅像(八部衆のうち)〔国宝〕
    >   8世紀前半、天平時代前期の作。天平6年(734)に光明皇后が母橘
    >   三千代の一周忌にあたり発願建立した西金堂にあった群像の中の
    >   一体。十大弟子立像(国宝)と同様天平彫刻特有の脱活乾漆造り
    >   で彩色が施され、作者として仏師将軍万福(まんぷく)や画師秦
    >   牛養(はたのうしかい)の名が古記録に見える。八部衆の中のこ
    >   の阿修羅像は、合掌する二臂と天空に大きく広げた四臂の配置が
    >   大変印象的な三面像で、天平時代前期の代表的作品として有名で
    >   ある。

    美術全集を活用するための索引ツールとして図書館にお備えください。
    ご注文は、R360ショップへ。最寄りの書店にもご注文いただけます。

     『仏像レファレンス事典』2009年7月刊 定価47,250円(税込)
       http://www.reference-club.com/fs/nichigai/gd165

                         (ネット販促課・竹村)

     R360ショップ:http://www.reference-club.com/
     会員登録:https://c11.future-shop.jp/fs/nichigai/MemberEntryEdit.html

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    今月は、日外アソシエーツの既刊書より、東洋学園大学の三谷康之教授
    のライフワーク「英文学の背景を知る」事典シリーズ3点をセレクトし
    ました。その中から『イギリス「窓」事典』をピックアップしてご紹介
    しましょう。

    window の語源は、古期スカンディナヴィア語の vindauga に由来する
    そうです。これは wind(風)を意味する vindr と eye(目)を表す
    auga の合成語。元々、通風や採光のために屋根や壁面に開けた穴を指
    し、そこから室内に風が吹き込むので wind-eye と呼ばれたそうです。

    本書は、風土や習慣の違いから馴染みのない異文化の一つとして「窓」
    を取り上げ、イギリスの窓について、建築学的意義に触れつつその文化
    史を詳説した事典です。数多くの写真やイラストを添えた上で、詩・童
    謡・童話・小説・戯曲・エッセイ・紀行文など実際の文学作品からの引
    用で構成されています。紹介した窓の種類は40点を越え、その名称は
    330点、窓の周辺用語は360点余りに及びます。補遺として「部屋の間取
    りと窓」「窓にまつわる習慣と表現」なども収録されています。

    窓は多種多様で、その周辺用語は多岐にわたります。様々な形で文学作
    品にも登場しますが、英和辞典はもとより英英辞典にさえ掲載されてい
    ないものも少なくないとのこと。blind window(盲目窓)、bull's-eye
    glass window(牛の目窓)、chimney window(暖炉窓)など、単語の意
    味から形状を推し量ることが困難なものもあります。

    興味深いのは、1696~1851年まで Window Tax(窓税)があったこと。
    エリザベス朝時代、ガラスは大変高価な贅沢品で、税金の対象になった
    そうです。当初、窓が六つまでは無税、それ以上が課税されました。課
    税対象は家屋の所有者ではなく、その居住者であり、中流階級には荷の
    重い措置だったようです。税を払えない者は窓を塞いで blind window
    にする例もあったといいます。

    たかが窓、されど窓。窓を通して異文化の輪郭がみえてきます。本書が
    イギリス文学のみならず、その文化全般を理解するための背景的知識と
    して、文字通り“wind-eye”になれば幸いです。

     『イギリス紅茶事典―文学にみる食文化』定価6,930円(税込)
     http://www.reference-club.com/fs/nichigai/gr7/gd159

     『事典・イギリスの橋―英文学の背景としての橋と文化』
                       定価6,930円(税込)
     http://www.reference-club.com/fs/nichigai/gr7/gd160

     『イギリス「窓」事典―文学にみる窓文化』定価9,600円(税込)
     http://www.reference-club.com/fs/nichigai/gr7/gd158

                         (ネット販促課・竹村)

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     定義語数50万、引用例文250万を収めた、世界で最も権威のある英英
    辞典「オックスフォード英語大辞典 第2版」。今回は“OED”(略称)
    の CD-ROM 最新版をご案内します。

     OEDは、経済的文化的に絶頂だった英国ビクトリア朝時代の1857年
    に編纂が始まり、1989年に第二版(全20巻)が刊行された壮大な“大辞
    典プロジェクト”です。現在までオンライン版が更新されており、2010
    年には待望の「第三版」刊行が予定されています。

     CD-ROM版は、第二版+その後の追補3巻+7,000語の新語を追加したも
    のです。図書館の棚を丸ごと一段占拠していた書籍版が1枚のディスク
    に収まり、PCのハードディスクにフル・インストールできます。

     さて、OEDの特長は、リチャード・トレンチ博士が1857年「わが国
    の英語辞典の欠陥について」と題してロンドン図書館で行った講演の中
    の、以下の言葉に端的に表されています。

    > 「辞典とは単に「言語の目録」であると悟ることだ、と彼は述べた。
    >  決して正しい用法を教えるための手引きではない。辞典編纂者には、
    >  良いか悪いかという基準で単語を選んで収録する権利はない。」

    > 「それぞれの単語の誕生から死までを示し、いわば単語の一代記をつ
    >  くるためには、その単語がいつ生まれたかを知り、出生の記録をつけ
    >  ることが重要である。」

    > 「(歴史的)原理にもとづいた辞書は、あらゆる単語についての用例
    >  を文献から引用し、その単語が初めて使われたときを示さなければな
    >  らないとした。そして、その用例のあとに、やはりあらゆる単語につ
    >  いて、意味の変遷を示す文を載せなければならない。」

    >    (『博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話』
    >     サイモン・ウィンチェスター著 早川書房 1999年刊 より)

     初出から現在に至るまで、時代を追いながらことばの意味や語形、用
    法の変遷を包括的に収録する「歴史主義」と、ことばの実態をありのま
    まに記録する「記述主義」という2つの編集方針が、巷間の規範主義的
    な学習英英辞典とは一線を画しています。

     膨大なデータの収集には、広くボランティア(篤志文献閲覧者)を募
    集しました。あの『指輪物語』の原作者・トールキンも1919年にOED
    の編集助手を務めたそうです。今の「英辞郎」プロジェクトや「ウィキ
    ペディア」の源流でしょうか。

    > 「英語のあらゆる文献を丹念に読み、ロンドンとニューヨークの新聞
    >  にくまなく目を通し、雑誌や定期刊行物のうち文学的なものを綿密に
    >  調べるためには、「多くの人びとの協力」が必要だ。…何百人もの人
    >  びとで構成される巨大なチームをつくり、アマチュアの人たちに「篤
    >  志協力者として」無給で仕事をしてもらわなければならない、とトレ
    >  ンチは述べた。」 (上掲書より)

      *  *  *

     私の学生時代、書籍版一式が三十数万円。同じコンテンツが僅か4万
    円弱で買えるわけですから、ユーザーにとっては良い時代です。

     1992年に Ver.1.0 が発売されて以来、検索プログラムのバージョン
    を重ね、今回の Ver.4.0 ではハイブリッド仕様になり、Mac OS X に
    対応しました(但し、アップグレード版は、Windows 専用)。

     今回、旧バージョンのXMLベースからFlashベースとなったので、動作
    がサクサク軽快になりました。画面まわりも若干、新しくなっています。
    一旦インストールすれば、90日間ごとの面倒なユーザー認証(ディスク
    挿入)も必要ありません。

     では、最後に一語、引いてみましょう。毎週土曜、NHK BS2で放送中
    のアレです。ちゃんと載っていました。

     Trekkie
     [f. TREK n. + -IE.]
      1. S. Afr. A small group of trekkers.

      1888 J. Bird tr. D. P. Bezuidenhout's Narrative in Annals of
      Natal I. 367 Five men were first sent forward to seek a road
      to the Drakensberg... A small 'trekkie'(party of emigrants)
      had preceded us.  1953 J. Collin-Smith Locusts & Wild Honey
      i. i. 10 It was a bright autumn morning when we had inspanned
      the sixteen oxen, and the wagon wheels had turned, and the
      little trekkie had started away. 

       2. Also Trekkie. An admirer of the U.S. science fiction
      television programme Star Trek; hence, a space-traveller;
      one interested (trivially) in space travel.
      In S. Africa the form trekker is also used for this sense.

      1976 New Yorker 16 Feb. 39 (caption) Of course, I didn't
      know George was a Trekkie when I married him.  1977 Time
      15 Aug. 50/2 Berry admits that his first trekkies would
      not know where they might emerge or if they would ever
      get back.  1978 Sunday Sun (Brisbane) 17 Sept. 45/3 Fans―called
      Trekkies―still number in their tens of thousands.  1981
      Space World Aug.―Sept. 6/3 Many of the [L-5] society's other
      members were considered space Trekkies more interested in
      social experimentation than in technology.  1983 Oxf. Univ.
      Press (N.Y.) Spring Catal. 27 The audience for science fiction
      now runs the gamut from the high school 'trekkie' to the
      serious literary scholar.

     ちなみに本文中の全ての単語にはハイパーリンクが貼られています。
    気になる単語にすぐにジャンプできるのは、冊子体にはないCD-ROMなら
    ではの強みですね。

     欧米では、この辞典が揃っていないと立派な図書館とは言えず、常に
    参照される定番の参考図書です。大英帝国が栄華を極めた時代の“大辞
    典”をPCのデスクトップに加える喜び…ご堪能ください。

    『Oxford English Dictionary on CD-ROM Ver.4.0』特価36,000円(税込)
     http://www.reference-club.com/fs/nichigai/gr25/gd162

                         (ネット販促課・竹村)

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     ╋■╋■╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■╋■╋ スポットライト・コラム
     ╋■╋    国際社会の新しい主役たちを追う―
     ■╋                 『現代外国人名録2008』
     ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

      本書「現代外国人名録」は、さまざまな分野で現在活動中の外国人
     を収録する人名録として1992年に発刊しました。従来の外国人名事典
     は、評価の定まった歴史上の著名な人物や偉人に重点を置いて編集さ
     れているのが常でしたが、この人名録はそれらとは違って、書名にも
     「現代」とあるように、新聞や雑誌、著作などを通して現代の日本人
     になじみの深い人物を収録するという方針の下、4年ごとに改訂を重
     ねています。

      最近国際社会の表舞台に出てくるようになった人物というと、まず
     誰もが思い浮かべるのは今年予定されているアメリカの大統領選挙の
     候補たちでしょうか。安定感でアピールする共和党のマケイン候補に
     対して、変革を訴える民主党のオバマ候補、そしてオバマ候補と民主
     党の候補者指名を激しく争ったクリントン候補、それぞれの候補者に
     ついて、日本のメディアでもいつになく大きく取り上げられています。
     最終的な投票日は11月4日ですが、新しい大統領が決まるまでまだま
     だ波乱がありそうですね。

      また、7月には北海道の洞爺湖で主要国首脳会議(サミット)が開
     催されました。アメリカ、イギリス、イタリア、カナダ、ドイツ、フ
     ランス、ロシア、そして今回の議長国である日本、G8諸国の首脳が
     集まって、世界経済や環境問題、アフリカに対する支援策などについ
     ての話し合いが持たれました。

      今回のサミットに出席した8人の首脳のうち、イギリスのブラウン
     首相とロシアのメドヴェージェフ首相、日本の福田首相にとっては、
     今回が首脳として参加する初めてのサミットでした。その他にも、
     「現代外国人名録」が前回刊行された2003年のサミットと比較してみる
     と、アメリカのブッシュ大統領とイタリアのベルルスコーニ首相以外
     の首脳は入れ替わっています。残る3人の名前や経歴、わかりますか?

      他にも、この数年の国際社会を見てみると、イラクでは2006年4月に
     ヌーリ・マリキが首相に選出されて同国では初めての民主選挙による
     政権が発足し、一方のキリスト教世界では、ローマ法王ヨハネ・パウ
     ロ2世の逝去を受けて17年ぶりにコンクラーヴェ(法王選挙)が行わ
     れ、ベネディクト16世が第265代法王に選ばれました。さらに、オー
     ストラリアの首相ケビン・ラッド、ウクライナの大統領ヴィクトル・
     ユーシェンコ、シンガポールの首相リー・シェンロン、国連事務総長
     になった韓国の潘基文など、ニュースに登場する顔ぶれはめまぐるし
     く変化しています。

     「現代外国人名録2008」には、ここで取り上げたような国際社会の新
     しい主役たちがもちろん掲載されています。今回の版で新しく収録し
     た人物5,751人を含めて13,268人をとりあげ、国籍、生年月日、出身地
     や職業・肩書といった基本的な人物データに加え、経歴、受賞した賞
     などもわかる限り記載しています。現代社会で活躍する外国人につい
     て調べる際の基礎ツールとして、既刊の「現代外国人名録」と併せて
     ぜひご利用下さい。

                             (編集部・安藤)

       『現代外国人名録200』
       日外アソシエーツ編 定価50,400円(税込)
       B5・1,500p 978-4-8169-2084-4
       http://www.nichigai.co.jp/sales/2084-4.html
     

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     ╋■╋■╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■╋■╋ スポットライト・コラム
     ╋■╋         ― アジアの大国を知る手がかりに
    ■╋               『読書案内 中国を知る本』シリーズ
     ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

      北京オリンピックがいよいよ始まります。中国はオリンピックを国
     家発展のバネにすべく、経済成長の道をひた走っています。44年前、
     東京オリンピックの頃の日本がそうであったように。じっさい、近年
     の中国の発展は目を見張るものがあります。その一方で中国共産党主
     導の経済成長路線が内包する問題点も明らかになってきています。
     2008年は大国中国の様々な側面が世界の大きな関心を集める年になり
     ました。チベット問題、全人代(全国人民代表大会)、経済格差、農民
     工(出稼ぎ労働者)、環境問題、台湾での馬英九総統の選出と国共トッ
     プ会談、四川大地震など。

      中国に関する本も毎年数多く出版されています。もともと日本は古
     代から中国と深い交流がありました。漢字、仏教をはじめ、中国から
     伝わった文物・制度なくして日本の歴史は語れません。しかし明治以
     降、日本は西洋を模範とする近代化路線に舵を切り替え、中国とは戦
     火を交え、戦後は大陸と国交のない時代が続きました。国交回復から
     36年、日中平和友好条約から30年、現在は隣国として友好・対立・親
     近・反発を含めてあらためて関心が高まっています。

      本シリーズは中国に関する重要テーマを解説し、関連文献を掲載し
     たブックガイドです。(1)政治・経済、(2)歴史、(3)文化の3冊から
     成ります。(1)政治・経済では、戦後の中国を対象に、中国共産党、
     毛沢東、文化大革命、改革・開放、香港返還、環境問題、チベット問
     題など中国現代史と各省の現況をとりあげます。(2)歴史では、北京原
     人から第二次世界大戦までの王朝、皇帝などの人物、シルクロードな
     どの中央アジア史をたどります。(3)文化では、孔子、老子、杜甫など
     の中国思想・中国文学をはじめ、現在開催中の「北京故旧 書の名宝展」
     で話題を集めている書の大家、中国料理、中国医学、香港映画、パン
     ダ、女子十二楽坊まで、中国文化各分野のテーマにスポットをあてま
     す。

      知っているようで知らない中国。知れば奥が深い中国。中国を知る
     第一歩のツールとして本書をぜひご活用下さい。

                          (編集部・城谷浩 記)

     ◆『読書案内 中国を知る本 (1) 政治・経済―13億人の今』
       日外アソシエーツ〔編〕
       定価8,400円(本体8,000円) A5・430p 2008年5月刊
       ISBN:978-4-8169-2105-6

     ◆『読書案内 中国を知る本 (2) 歴史―4000年の繁栄と興亡』
       日外アソシエーツ〔編〕
       定価8,400円(本体8,000円) A5・420p 2008年6月刊
       ISBN:978-4-8169-2106-3

     ◆『読書案内 中国を知る本 (3) 文化―四書五経から美術・音楽まで』
       日外アソシエーツ〔編〕
       定価8,800円(本体8,381円) A5・410p 2008年7月刊
       ISBN:978-4-8169-2107-0
     

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     ╋■╋■╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■╋■╋ スポットライト・コラム
     ╋■╋             ― 近代日本人の外国体験記をたどる
    ■╋                   『事典 日本人の見た外国』
     ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     大河ドラマ「篤姫」が好調です。激動の幕末維新を、一人の女性の生
     涯を通じたホームドラマとしてわかりやすく描いています。その主人
     公が育った鹿児島に、ジョン万次郎(中浜万次郎)、大久保正助(の
     ちの利通)が登場しました。この二人には共通点があります。日本人
     として早くに西洋を見聞し、その体験が日本の進路にも大きな影響を
     与えたことです。中浜万次郎はまだ鎖国下の天保12年(1841年)に土
     佐沖で漂流、アメリカ船に救助され米国で教育を受け、ペリー来航の
     2年前に琉球、鹿児島を経て土佐に帰国。万次郎のもたらした海外情
     報は、薩摩藩、土佐藩、そして幕府の外交にも影響を与えています。

     一方の大久保利通は西郷隆盛、木戸孝允とともに維新の三傑として知
     られています。明治新政府の実力者となり、明治4年(1871)に岩倉
     使節団副使として欧米を歴訪、西洋文明に衝撃を受け、帰国後に西郷
     隆盛の征韓論を退け、西洋文化を移入し富国強兵を進める明治政府の
     路線を決定づけます。幕末維新の方向性に影響を与えたこの2人は、
     外国体験を文献に残したことでも共通しています。中浜万次郎は土佐
     で漂流の経緯やアメリカ文化を口述し、絵師の河田小龍によって「漂
     巽紀略」としてまとめられました。大久保利通は岩倉使節団の公式報
     告書「特命全権大使米欧回覧実記」とは別に「大久保利通日記」にア
     メリカやイギリスでの印象を綴っています。これらの海外体験の記録
     は当時の日本人にとって貴重な貴重な情報であり、日本の近代史の上
     で今日でも重要な史料です。

     本書「事典 日本人の見た外国」は、江戸時代から戦前までの日本人
     の外国体験、外国紹介の本を通じて、日本人の目に外国がどう映った
     のか、外国をどうとらえていたのか、を紹介する事典です。先に取り
     上げた2人の見聞記・日記をはじめ、江戸時代、幕末維新(咸臨丸か
     ら岩倉使節団まで)、明治時代、大正時代、昭和時代(戦前期)の五
     つの時代に分け、377点をとりあげています。各書物について、書か
     れた国と旅行年、書いた人はどんな人物であったか、時代背景、そし
     て書物の内容について、詳しく解説しています。

     収録された顔ぶれは、海外渡航が国禁であった江戸時代は大黒屋光太
     夫、アメリカ彦蔵などの漂流民の記録に限られます。幕末維新の時代
     には、咸臨丸の勝海舟、福沢諭吉、幕臣であった渋沢栄一などの明治
     の重要人物のほか、若き藩士として早世した木村鉄太など多くの人物
     の渡航記が取り上げられています。明治に入ると、公費・私費の留学
     生の記録・日記が数多く書かれます。森鴎外・夏目漱石・永井荷風ら
     もその一部です。また、シベリア、チベット、南極などの探検記も現
     れます。大正・昭和期には、革命後のロシアや、両大戦期のヨーロッ
     パ、アメリカの事情をとらえた作家や学者の著作が多数あります。
     数は少ないですが、女性の著作もあります。日本初の女子留学生であっ
     た津田梅子を先駆けとして、明治期には川上貞奴、与謝野晶子、昭和
     期では岡本かの子、林芙美子、野上弥生子らの旅行記があり、彼女ら
     の行動力に感嘆させられます。そしてこの事典の最後を締めくくるの
     は、与謝野晶子の息子の与謝野秀(しげる)で、彼はポツダム宣言受
     諾の電報を連合国側に伝達する役目を果たしています。

     本書で採りあげた各項目には、初出から複刻、全集、文庫版までの目
     録がついているので、原本を読む手がかりになります。巻末には書名、
     著者名のほか、国別索引、使節団やテーマから引ける事項名索引があ
     ります。国別索引を見ると、欧米だけでなく、アジア、中東、南米な
     ど世界各地にわたっていることがわかります。
     本書は、外国人の日本研究書を解説した『事典 外国人の見た日本』
     の姉妹編にあたります。また、海外に渡った人物を対象とした『海を
     越えた日本人名事典』、国ごとに日本との交流をまとめた『海外交流
     史事典』とともに、日本人の海外交流を手がけてきた、元日本大学教
     授の富田仁先生の事典四部作にあたります。既刊の事典とともに、ぜ
     ひ活用していただきたい1冊です。
                              (編集部・城谷)

      ◆ 『事典 日本人の見た外国』
        富田仁〔編〕
        定価 9,333円(税込 9,800円) A5・510p 2008年1月刊
            ISBN:978-4-8169-2056-1
     

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     ╋■╋■╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■╋■╋ スポットライト・コラム
     ╋■╋      ― 当時の地域や社会あるいは習慣が彷彿としてくる
    ■╋                     『装いのアーカイブズ』
     ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     著者の平井紀子氏は、本著の「あとがき」にも書いておられますが、
     『服飾史の基本文献解題集-池田文庫(財団法人阪急学園)の服飾関
     係資料-』で、第9回図書館サポートフォーラム賞(2007年)を受賞
     されました。
     その中に掲載・説明されている、図版の数々が、大変魅力的で当時の
     地域や社会あるいは習慣が彷彿としてくるものでした。
     出版のいきさつは、この「あとがき」に譲りまして、ここでは本書の
     読みどころ、と申しましょうか、著者に代わって書いてみたいと思い
     ます。

     著者「まえがき」に触れられていますが、「「衣」というフィルター
     を通して「人間の文化」を見つめなおしてみたいと考えた」という壮
     大(!?)な方針が語られています。著者はその「文化」を、君主・
     皇帝の衣装にはじまって、戦士服・儀礼服・作業服・伝統衣装・スポー
     ツ服と渉猟して、丁寧にほぐしておられます。
     東西ヨーロッパの10~19世紀が対象になっていますが、衣装分類の横
     串の刺し方は、寡聞ではありますが、従来にない試みではないか思い
     ます。長年の服飾専門大学の司書のご勤務で、面白い、魅力ある歴史
     衣装が脳裏に刻まれて本書で、ほとばしりでた、という印象を持ちま
     した。

     カバーの絵柄のひとつは、19世紀後半のイタリアの農婦の冬服、を採
     り上げました。本文では、こう説明されています。
     「ブラウスの衿には細かいギャザーがよせられた機械編みのレースの
     襞飾りがある。袖口にも同じような飾りが見られる。
     機械編みレースは十九世紀初頭に発明された。それまでは、熟練した
     技術をもつレース工が長時間かけて作り出す貴重な装飾品で高価であっ
     たが、機械編みレースができるようになった中期ごろからは、比較的
     安価な機械編みのものが庶民階級に広まった。
     黒いブロケードの上着からは、なかに着ている緑色のリボンで飾られ
     たペトリナ(装飾的な胸飾り)が少し見えている。リンネルのエプロ
     ンには縁レースの飾りがあり、腰には金糸銀糸入りフレンジのついた
     黒の飾り紐を下げ脇で結んでいる。帽子はつばの広い黒いフェルト製
     のものをかぶる。冷たい風や急な雨をしのぐためか。ストッキングは
     仕事用に丈夫にできている。靴は栗色の革靴で赤と青の飾りがある。」
     という調子です。国民性ゆえか、野良仕事でも、優雅さと実質を備え
     たのでしょうか。

     社会背景としては、「早くから各都市が独立国家であったために各地
     方ごとの個性が強く、衣服も地方色豊かなものが着用されていた。多
     くの地方では、日常着と祝祭日に着る衣装とのあいだには大きな異差
     が見られる。また同一地方であるのに全く異なる服型であったり、農
     民の服とは思えないほど優雅なものもある。イタリア衣装のこうした
     特質は、十五、十六世紀の奢侈禁令でいくつかの制限を命じたものの、
     ある程度の装身具や絹とビロードの縁飾りは許されていた。こうした
     影響が伝統的に受け継がれていた。」という説明がなされています。
     アーカイブズの使命は、それを分析することによって社会の有様の再
     生(再現)を担う、と言われるようです。タイトルを、『装いのアー
     カイブズ』とさせていただいた所以です。

     ところで、NHK大河ドラマ『篤姫』は毎週高視聴率のようですが、私は
     平井さんに刺激されて、それぞれの配役の衣装を興味深く見ています。
     著者には、今度は、『装いのアーカイブズ-2』で、日本版を期待した
     い、と思うのは私だけの想いでしょうか。読者の皆様のご感想、お待
     ちいたします。
                             (編集部・朝日)

      ◆ 『装いのアーカイブズ 
         ―ヨーロッパの宮廷・騎士・農漁民・祝祭・伝統衣装』
        平井紀子〔著〕
        定価 3,360円(税込 3,200円) A5・250p 2008年5月刊
            ISBN:978-4-8169-2103-2
            http://www.nichigai.co.jp/sales/2103-2.html

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     ■╋■╋ スポットライト・コラム
     ╋■╋    ―
    ■╋        『読んでおきたい名著案内 教科書掲載作品13000』
     ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     大学は文学部で学びましたが、史学専攻だった私は文学少女と言うに
     はほど遠く、読む本と言えば歴史の研究書がほとんど。しかし、そん
     な私でも「羅生門」「檸檬」などの内容は知っていますし、覚えてい
     る漢詩や詩歌もいくつかはあります。それは、高校の国語の授業で習っ
     たから。各社が知恵を絞って選んだ作品はどれも鑑賞に堪えうる名作
     揃いで、教科書は名著の宝庫と言えます。私のような者にとって、国
     語の授業は名作文学に触れる貴重な機会でした。誰にでも記憶に残っ
     ている作品や文章が少なからずあるのではないでしょうか。

     おぼろげな記憶を頼りに、どんな作品が掲載されていたかを知りたい
     と思っても、それを調べるのはなかなか容易なことではありません。
     一般の図書館では教科書を収蔵していませんし、過去の教科書内容が
     簡単に一覧できるような便利なツールもこれまでありませんでした。
     作品が教科書に掲載されるような作家というのはたいてい膨大な作品
     を発表しているので、「おそらくこれ」という勘だけを頼りに、全集
     や目録などから探すのが大変な労力を要することは想像に難くないで
     しょう。

     本書は、高校で教鞭を執りながら高校国語教科書内容のデータベース
     化に取組んでおられる阿武泉さんのご協力を得て、戦後の国語教科書
     に掲載された小説、戯曲、評論、随筆、詩、短歌、俳句、古文、漢文
     などの作品を網羅した初の書籍です。誰の、どんな作品が、どの発行
     所の、何年の教科書に掲載されていたかを一覧でき、またその作品を
     読むことの出来る書籍の情報も掲載しています。

     先ほど例に挙げた芥川龍之介の「羅生門」を調べてみますと、1957年
     の初出以来、20社近くの約170冊に採用され、現行の教科書にも掲載
     されていることが分かります。ついでに他にはどんな芥川作品が採用
     されているのかを少し見てみましょう。
     (以下内容抜粋 「 」が作品名、◇以下が書籍名、[ ]以下が教
     科書名と使用開始年)

      「或る阿呆の一生」
      ◇ザ・竜之介 第三書館 2000
      [筑摩]「高等学校用現代文 二訂版」'89,「現代文」'95,
          「現代文 改訂版」'00

      「襟巻のまま召したまへ…」
      ◇芥川竜之介全集 第19巻 岩波書店 1997
      [筑摩]「新編 国語2」'92

      「おぎん」
      ◇ザ・竜之介 第三書館 2000
      [筑摩]「展望現代文」'05

      「枯野抄」
      ◇芥川竜之介 筑摩書房 2007
      ◇或日の大石内蔵之助・枯野抄 他十二篇 岩波書店 2004
      [尚学]「高等学校新選現代文」'83,
          「高等学校新選現代文 改訂版」'86,
          「新選現代文 三訂版」'89,「新選現代文 四訂版」'92,
          「新版 現代文」'96
      [筑摩]「新編 現代文」'90
      [中央図]「新現代国語 2」'74
      [中教]「高等国語総合編 三年上」'56
      [日栄社]「現代文要選」'57
      [明治]「現代国語 二」'64,「改訂 現代国語 二」'67,
          「現代国語 二 三訂版」'71,「現代文」'83,
          「現代文 新修版」'86,「現代文 新訂版」'89,
          「現代文 二訂版」'92

      「煙管」
      ◇羅生門・鼻・芋粥 角川書店 2007
      [書院]「現代国語 一」'63,「高等学校現代国語 2」'67

      「咳一つ赤子のしたる夜…」
      ◇芥川竜之介全集 第10巻,第20巻 岩波書店 1996,1997
      [学図]「基礎国語」'95


     古いところでは'60年代にだけ採用されていた「煙管」、最近では2005
     年採用の「おぎん」などが見えます。私のような者にとっては聞き馴
     れない作品ですが、教科書に採用されたとなると、どんな内容なのか
     ちょっと気になりますね。それから小説だけでなく、「咳一つ赤子の
     したる夜…」「襟巻のまま召したまへ…」などで始まる俳句も採用さ
     れているようです。これらの俳句は全集の第10・20巻と第19巻にそれ
     ぞれ収録されていることも本書から分かりますので、掲載書籍を探す
     手間が省けます。

     作家名は分からないけれど、作品名なら分かるという場合には、巻末
     の作品名索引をお使い下さい。「谷崎(潤一郎)作品って読んだこと
     ある?」「はい、『走れメロス』なら」と言った人を私は知っていま
     すが、そんな人でもこの索引を使えば大丈夫!谷崎潤一郎の項には載っ
     ていなくても、索引から無事に太宰治の項にある作品を探し出すこと
     が可能です。(当メルマガ読者の中にはこんな方はいらっしゃらない
     と思いますが…。)

     この他にも、「こころ」(夏目漱石)、「舞姫」(森鴎外)、「山月
     記」(中島敦)などが数十年に渡って採用されている定番であること
     が分かりますが、これまでにこれらの作品が掲載された教科書数の膨
     大さには驚くばかりです。一方、最近では「ナイン」(井上ひさし)、
     「レイニー河で」(ティム・オブライエン著/村上春樹訳)、「草之
     丞の話」(江國香織)、「ももこのいきもの図鑑」(さくらももこ)
     など、現代作家や女流作家による作品の採用も増えてきているようで
     す。本書のページをめくると、時代の流行や社会背景などを反映しな
     がら移り変ってきた国語教科書の変遷が垣間見え、年代によってどん
     な作品で国語を学んだのかを知ることも出来ますよ。

     名著を知るための手引きとして、懐かしい作品を探すためのツールと
     して、司書の方はもちろん、一般の方におすすめできるだけでなく、
     高校の国語教育研究や、作家・作品研究のためのデータとしても使え
     る、中身の濃い一冊です。
                             (編集部・吉本)

      ◆ 『読んでおきたい名著案内 教科書掲載作品13000』
        阿武泉〔監修〕
        定価 9,800円(税込) A5・920p 2008年4月刊
            ISBN:978-4-8169-2097-4

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     ╋■╋■╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■╋■╋ スポットライト・コラム
     ╋■╋    ― 技術史におけるアーカイブズの蓄積
    ■╋               『技術革新はどう行われてきたか』
     ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     著者積年の主張が、本書に結実いたしました。
     著者の紹介は、以下のHPが参考になると思います。

     〈馬渕浩一の研究・教育の概要〉
      http://www.asahi-net.or.jp/~zw4k-mbc/index.htm

     どういうことを主張される著者かといいますと、これは別のところで
     たとえば、

      ・携帯電話のリチウムイオン電池を入れているステンレスのケース
       には、深絞りという技術が生きている。これはステンレス製ライタ
       ーで培った技術が受け継がれたものである。

      ・日本の過去の水力発電技術は、いまは我が国には当てはまらない
       が、発展途上国がこれから発電所を作るのに大いに役立つ技術で
       ある。

      ・日本の在来工法「たたき」の技術は、たとえばアンコールワットの遺
       跡の修復に役立った。等々(本著でも紹介)。

     たたき、では本書でも、「長七たたき」の事例が紹介されていますが、
     このように、先人が文字通り命がけで培った技術が、時間と空間を超
     えて生きる、ということを綿密に実証されています。
     我が国の産業技術は、一方でICなど分秒を争う最先端の技術が世界を
     舞台にしのぎを削っているかと思うと、一方では、一見、現在とは無
     関係な技術が、角度を変えて甦ってくる、という状況が併走している
     ように見えます。
     かの三菱重工などは、造船の技術輸出がおおいに業績に与っている、
     と漏れ聞きます。

     製鉄、機械、土木などで、このような蓄積がいかに行われ、現代に生
     かされているか、著者は丹念に掬い取って叙述しています。製鉄で言
     えば、「たたら製鉄」。身近では宮崎駿の『もののけ姫』で、足し踏
     みしてふいごを吹いているシーンをご覧になったかたも多いでしょう。
     この技術の有効・限界性を参考に、さらに西洋の技術の導入から、反
     射炉、高炉という流れが出来上がります。

     残すべき、あるいは残ってきた貴重な資源、資料は「アーカイブズ」
     と言われます。
     別件になりますが、わたしは最近、東京大空襲時、33枚の写真を撮っ
     た警視庁カメラマン・石川光陽氏のことを知りました。戦後になって
     もそのネガをGHQの提出要求に、断固はねのけて渡さなかった、といい
     ます。
     命がけで撮ったものを、だれに引き継ぐのか。引き継いでいく大切さ、
     というアーカイブズの使命の一端を教えられた気がしました。
     本書では、換言すれば、技術史における、アーカイブズの蓄積と伝え
     られ方さらに活用方法が語られている、と申すことも出来るかもしれ
     ません。
     今後の我が国産業発展のヒントが、本書によってその一端なりとも垣
     間見られれば、著者、編集者とも、これにすぐる喜びはありません。

                             (編集部・朝日)

      ◆ 『技術革新はどう行われてきたか ―新しい価値創造に向けて』
        馬渕浩一〔著〕
        定価 3,800円(税込) A5・260p 2008年2月刊
            ISBN:978-4-8169-2094-3
        http://www.nichigai.co.jp/sales/2094-3.html

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     ■╋■╋ スポットライト・コラム
     ╋■╋    ― 日本全国の新旧名所を総覧
    ■╋                   『事典・日本の観光資源』
     ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     国土交通省の外局「観光庁」の10月設置が決まりました。2001年の省
     庁再編以来7年ぶりの外局の設置に注目があつまっています。主な政
     策は「海外からの旅行者誘致」と言われていますが、旅行者数を増加
     させるためには国内の観光資源の確認・再発見が必要となりそうです。
     すでにいくつかの地方自治体では、観光庁設置に照準を合わせ、観光
     課を観光局に再編したり、特別室を設けたりしていると聞きます。

     そうした観光振興政策が推進されるなか、必然的に生まれてくる問い
     が「日本全国にはどのような名所があるの?」との問いではないでしょ
     うか。その問いに答えようとする際、大いに役立つものが「◯◯100
     選」や「三大◯◯」などと名数で呼ばれる◯◯選(以降、名数選)で
     す。

     本書『事典・日本の観光資源』は、官公庁・政令指定都市や財団法人
     が選定した公共の名数選を中心に、民間の百選も一部含めて242種類
     の約15,000件を収録。「日本三景」や「日本三名園」はもちろんのこ
     と、「かながわの公園50選」「さくら名所100選」「東海道五十三次」
     「名水百選」なども掲載しています。本書の構成は「第一部 地域別
     一覧」と「第二部 選定別一覧」の二部構成ですが、最大の特徴は第
     一部の地域別一覧にあります。これまで

      「日本三景といえば松島、厳島(宮島)、天橋立」
      「日本三名園といえば偕楽園、兼六園、後楽園」

     のように名数選は、よく選定ごとに語られてきました。しかしながら、
     いったん天橋立のある京都府宮津市に、他にどのような名所があるの
     かを調べようとすると、必ずしも簡単ではありません。本書はそうし
     た問題を解消し、

      「旅先での近場の名所を調べたい!」
      「近所に意外な観光の穴場はないだろうか?」

     などの要望にこたえるため、地域別一覧を主体としたところに特徴が
     あります。実際に201頁の宮津市をひもといてみると

      宮津市
       ◇天橋立 ⇒「関西自然に親しむ風景100選」
        「日本三景」「日本十二景」「日本の渚・百
        選」「日本の白砂青松100選」
       ◇天橋立・海を渡るみち ⇒「美しい日本の
        歩きたくなるみち500選」
       ◇天橋立駅(北近畿タンゴ鉄道宮津線) ⇒「近
        畿の駅100選」
       ◇天橋立線 ⇒「日本の道100選」
       ◇磯清水 ⇒「名水百選」
       ◇大フケ湿原およびその周辺湿地 ⇒「日本
        の重要湿地500」
       ◇金引の滝 ⇒「日本の滝100選」
       ◇丹後半島沿岸~若狭湾(西部) ⇒「日本の
        重要湿地500」
       ◇成相寺(第28番) ⇒「西国三十三箇所」
       ◇日本三景 天橋立 ⇒「美しい日本の歴史的
        風土100選」
       ◇宮津街道 ⇒「歴史の道100選」

     とあり、宮津市には天橋立の他にもいくつかの名所をみつけられます。

     一方、第二部の選定別一覧では、名数選の概要や由来、選定期間、選
     定時期、名称、所在地を掲載しました。例えば、上記の天橋立駅は
     「近畿の駅100選」に選ばれていますが、394~396頁には

      近畿の駅百選
       “あの駅この駅すてきな駅”をキャッチフレーズ
       に「鉄道の日」(10月14日)の記念行事の一つと
       して、国土交通省近畿運輸局が実施(2001年1月
       5日までは運輸省、2001年1月6日から省庁再編
       により国土交通省)。2000(平成12)年から4年
       間かけて、推薦があった駅の中から毎年25駅を
       選定。
       [選定期間]「近畿の駅百選」選考委員会
       [選定時期]2000(平成12)年~2003(平成15)年
       (後表略)

     と概要などのあとに表を示して、天橋立駅が大阪駅や京都駅、六甲山
     上駅などとともに「近畿の駅百選」に選ばれていることがわかります。

     余談ですが、試しに私の出身地と現住所の付近を調べてみたところ、
     徒歩10分圏内に「ふるさといきものの里100選」「かながわの橋100選」
     に選ばれた場所がありました。知られざる意外な観光名所を探すこと
     もできます。

     ふるさとを想うとき、近くの名所に行ってみたいとき、旅に出て放浪
     したいとき、レファレンスで地域の名所を紹介するときなどに、ぜひ
     一度手にとっていただきたい一冊です。
                             (編集部・小森)


      ◆ 『事典・日本の観光資源―◯◯選と呼ばれる名所15000』
         日外アソシエーツ〔編〕
         定価 8,400円(税込) A5・590p 2008年1月刊
             ISBN:978-4-8169-2086-8
         http://www.nichigai.co.jp/sales/2086-8.html
         http://www.nichigai.co.jp/sales/images/2086-8ex.gif

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     ■╋■╋ スポットライト・コラム
     ╋■╋    ― 世代や性別を越えて普遍的に関心を持たれ続けるもの
    ■╋                        『日本芸能事典』
     ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     自分が思い出すことのできる、最初の「芸能」に関する記憶って何で
     すか?
     初めて買ったCD(レコード)、夢中になって見たテレビ番組、追っかけ
     をしていたタレント、通いつめた映画館…人それぞれに思い出に残る
     作品や人物・出来事があるのではないでしょうか。

     この本の担当になったとき、正直自分が知らない時代の方が多いなぁ…
     といささか不安になりました。収録対象の1958年から2007年まで50年
     分の資料を集め、順番に目を通していきます。現在活躍しているあの
     芸能人、若い頃はこんなことをしていたんだな、と興味深いことがいっ
     ぱいでした。また、自分は若いつもりでいても、「石原裕次郎を知ら
     ない」という、隣に座る女の子(新入社員)の発言を聞いたときには
     動揺してしまいました(石原裕次郎は1987年7月17日死去)。世代や
     性別を越えて普遍的に関心を持たれ続けるもの、それが「芸能」なの
     ではと思いました。

     それでは、どんなトピックが収録されているのか見てみましょう。
     (記述内容は抜粋)
    -----------------------------------------------------------------
      1958.3.26
       ナンシー梅木がアカデミー賞…映画「サヨナラ」で、好演した
       ナンシー梅木がアカデミー助演女優賞を受賞。東洋人初のオス
       カーを獲得。

      1960.4月
        「アカシアの雨がやむとき」発売…西田佐知子の「アカシアの
          雨がやむとき」が発売され、六十年安保闘争関係者の間で愛唱
          される。

      1961.2.14
       赤木圭一郎が事故死…「トニー」こと俳優の赤木圭一郎が、ゴー
       カートで日活撮影所の鉄扉に激突し死亡。「和製ジェームス・
       ディーン」と呼ばれる伝説のスターに。

      1965.2月-3月
       中村紘子が入賞…第7回ショパン国際ピアノコンクールがワル
       シャワで開催され、中村紘子が第4位に入賞。

      1972.7.21
        「太陽にほえろ!」放送開始…石原裕次郎主演の刑事ドラマ「太
          陽にほえろ!」の放送が開始。1986年11月まで続く長寿番組に。

      1978.4.4
          キャンディーズ解散…「普通の女の子に戻りたい」と引退宣言
          をしたキャンディーズが後楽園球場でさよならコンサート。

      1978.8.4
          古賀政男が国民栄誉賞受賞…「古賀メロディー」として国民的
          作曲家となり、7月に死去した古賀政男に国民栄誉賞が贈られた。

      1980.5月
          「影武者」がパルム・ドール…第33回カンヌ国際映画祭で、
           黒澤明監督の「影武者」がグランプリ(パルム・ドール)を
           受賞。

      1983.4.4-1984.3.31
          連続テレビ小説「おしん」が放送開始…第31回NHK朝の連続テ
          レビ小説「おしん」の放送が開始。最高視聴率62.9%を記録。

      1985.6.24
          「聖輝」の結婚…松田聖子と神田正輝がサレジオ教会で挙式。

      1989.6.24
          美空ひばりが死去…歌謡界の女王、美空ひばりが死去。

      1989(この年)
       原宿「ホコ天」ブーム…原宿の歩行者天国に数十組のバンドが
          あふれる。深夜番組「イカ天」を経てプロへ転向というバンド
          も。

      1991.11.13
          写真集「Santa Fe」発売…タレント宮沢りえのヌード写真集
          「Santa Fe」が朝日出版から発売、ベストセラーに。

      1995.6.1
          THE BLUE HEARTSが解散…「リンダリンダ」「情熱の薔薇」など
       のヒットで知られるロックバンドTHE BLUE HEARTSがラジオ番組
       で解散を発表。

      1999(この年)
       K・バレエ・カンパニーの結成…ロイヤル・バレエ団を退団した
       熊川哲也がK・バレエ・カンパニーを結成。

      2001.12.25
          初のM-1グランプリに中川家…漫才の日本一を決めるM-1グラン
       プリに吉本興業の中川家が初代チャンピオンに輝く。

        2005.3.3
          18代目勘三郎襲名公演…歌舞伎役者中村勘九郎が、18代目中村
       勘三郎を襲名、5月まで歌舞伎座で襲名披露公演を行う。

        2007.2.26
          菊地凜子、オスカーならず…第79回アカデミー賞の発表・授賞
       式が行われ、「バベル」で助演女優賞候補になった菊地凛子は
       惜しくも受賞ならず。

        2007.5.27
          坂井泉水が死去…「ZARD」のボーカル坂井泉水が入院先の慶応
       大学病院で死去。

    -----------------------------------------------------------------

     また、今は何か調べ物があるときにはまずネット検索、という方も多
     いのでは?確かに、ある出来事を端的に調べたいときは非常に有効で
     す。ですが、時代全体を見渡したいとき、その出来事の前後を見たい
     ときなどはやはり一望できるツールの方が便利なのではないでしょう
     か。巻末には、分野や人名別に引ける「分野別索引」「人名索引」を
     付け、検索の便をはかりました。

     レファレンスツールとしてだけでなく、読み物としてもおすすめの一
     冊です。
                             (編集部・若林)

      ◆ 『日本芸能事典―50年の記録―』
         日外アソシエーツ編集部〔編〕
         定価14,800円(税込) A5・890p. 2008年2月刊
             ISBN:978-4-8169-2091-2
         http://www.nichigai.co.jp/sales/2091-2.html

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     ■╋■╋ スポットライト・コラム
     ╋■╋               ― 地震大国・日本、その被害状況を一覧
    ■╋                     『地震・噴火災害全史』
     ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     本書は2007年5月に刊行しました『鉄道・航空機事故全史』(シリーズ
     災害・事故史1)の続編に当たるものです。構成は、

      総説
      第I部:大災害55件の解説(見開き)
      第II部:416年から2007年までの年表形式での解説1,847件
      第III部:震源地とマグニチュード一覧、参考文献

     からなっております。
     地震・噴火関係の既出版物は、どれも、全体を網羅する通覧性に欠けた
     り、あるいは、解説が専門的で一般には取りつきにくい憾みがあったり
     で、まずは通覧性と分かりやすい解説を念頭に編集いたしました。

     総説では、地震がどのような被害をおよぼすかを、それぞれの災害に即
     して解説して、今後の対策への戒めを提起しています。災害情報センター
     の筆になるものです。
     第I部では、明治以降の主な55件につき、見開きでの解説を方針に、背
     景、概要、被害の特長につき記述しています。地震や噴火災害は、鉄道・
     航空機事故、気象災害のように地上あるいは大気中でのものではなく、
     また人為ということでもないため、原因の特定が難しく、「背景」では、
     よって来る遠因につき、整理しております。また、図・写真については、
     インターネットなどにも、参考になるものも多く、月並みな被害状況の
     写真を掲載することを避け、できるだけ、災害の内実に迫れるようなも
     のを掲載いたしました。
     第II部では、遡れる範囲の古代から通覧しています。本当にあったもの
     かどうか、あるいは被害の状況等曖昧なものが多いのは当然であり、災
     害情報センターとの協同で事実の裏を取るのには一苦労いたしました。
     第III部の震源地とマグニチュード一覧は、第II部を読まれても読み取る
     ことはできますが、敢えて、これのみ抽出いたしております。編集して
     いて分かったことは、調査研究には、「どこが被害にあったか」も勿論
     大事なことですが、それ以上に「どこが震源だったのか」「その規模は」
     という要素が、大変重要であるということです。
     本書最後に、参考文献を詳細に取り上げ、研究者の用に供させていただ
     きました。

     編集の過程では、「随分と似たような災害があるなあ」「過去に本当に
     学んでいるのだろうか」という感慨にしばし浸ったことも事実です。
     多くの方に読んでいただき、災害の「点」と「線」を、そして「貴い教
     訓」を是非読み取っていただきたいと思います。地震大国の我が国で、
     被害最小化に向けて少しでも役立つことが出来るなら、編集した者とし
     て、これに過ぐる喜びはありません。

                              (編集部・朝日)

      ◆ 『地震・噴火災害全史(シリーズ 災害・事故史2)』
         災害情報センター,日外アソシエーツ〔共編〕
         定価9,800円(税込) A5・400p. 2008年2月刊
             ISBN:978-4-8169-2089-9
         http://www.nichigai.co.jp/sales/2089-9.html

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     ■╋■╋ スポットライト・コラム
     ╋■╋            ― 好奇心を幅広く満たしてくれるデータブック
    ■╋                      『367日誕生日大事典』
     ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     「今日はあの人の誕生日」
     「自分と同じ誕生日の人にこんな人がいた」
     こんな会話をすることってありませんか?
     そんな好奇心をもう少し幅広く満たしてくれるのがこの本です。

     例えば、今年は大河ドラマ「篤姫」が高い視聴率を得ているようです。
     その主演女優は宮崎あおい、彼女の誕生日は11月30日です。

     同じ11月30日生まれには他にどんな人がいるのか見てみましょう。

     現代の人物では、秋篠宮文仁親王、落語家の林家三平、推理作家のジョ
     ン・ディクソン・カー、元社民党党首の土井たか子、映画監督のリド
     リー・スコット、江戸風俗研究家で漫画家の杉浦日向子らの名前が並
     びます。
     もう少し古いところに目をやると、明治から昭和にかけて活躍したジャー
     ナリストの長谷川如是閑、英国首相のウィンストン・チャーチル、
     「赤毛のアン」で知られるL.M.モンゴメリもこの日に生まれています。
     さらに時代を遡れば、高校世界史の資料集などで必ず目にする「ベリー
     公のいとも豪華なる時祷書」を製作させたことで知られる中世フラン
     スのベリー公ジャン1世、彼も同じ11月30日生まれのようです。生ま
     れたのは1340年、亡くなったのが1416年ですから、ざっと700年近く
     も昔の人です。

     モンゴメリの誕生日がわかったところで、そういえば「赤毛のアン」
     を翻訳した村岡花子の方はいつが誕生日なんだろうと調べてみました。
     こちらは6月21日生まれ。ジャン・ポール・サルトルやフランソワー
     ズ・サガン、イギリスのウィリアム王子などの人物が生まれた日でも
     あり、さらにはディック・ブルーナの絵本の主人公ミッフィーの誕生
     日ということにもなっているようです。

     この本では、時代は紀元前から21世紀までの2000年以上、地域は日本・
     東洋・西洋と幅広い人物をとりあげ、見開きページごとに同じ誕生日
     の人が一覧できるようになっています。また、歴史上の人物に加えて、
     小説や漫画の登場人物も収録してバラエティを持たせました。
     タイトルを見て、“367日って!?”と思われるかもしれませんが、閏
     年の2月29日と、旧暦にあった2月30日についても誕生日の人物を掲載
     しているので、全部で367日になっているというわけです。

     「この人とこの人は同じ誕生日だったのか!」「この誕生日の人はな
     んだか大物揃いだな」といった小さな、でも面白い発見をすることが
     できる一冊です。
                             (編集部・安藤)


      ◆ 『367日誕生日大事典―データブック・同じ日生まれの有名人』
         日外アソシエーツ編集部〔編〕
         定価 8,800円(税込) A5・1,030p 2007年9月刊
             ISBN:978-4-8169-2067-7
         http://www.nichigai.co.jp/sales/2067-7.html

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     ■╋■╋ スポットライト・コラム
     ╋■╋    ― 白書の各種統計を、キーワードから探し当てられる
    ■╋                       『白書統計索引2007』
     ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     先日同僚と話していたときのこと。
     「子どもって、いつまでサンタさんを信じてるんだろうね」
     という話題になりました。

     みなさんはこんなレファレンスが来たら、どうしますか?
     もちろん、何となく予想はつきます。小学生低学年までかな、とか。
     ただ「正確なところどうなの」と聞かれると「どうなんだろうね」
     となってしまいます。

     仲間内の雑談ならそれでOKです。

     ただビジネスにおいてマーケティング戦略をたてるときや、大学で
     仮説を立証していくときなどには「どうなんだろうね」ではすまさ
     れません。正確で、信頼できるデータをそろえる必要があります。

     信頼性が高く、母集団が多く、なおかつ入手しやすく見やすい統計
     ということであれば“白書”にしくものはありません。

     「白書統計索引2007」は、そのような白書からスピーディに統計を
     検索するための必須ツールなのです。

     例えば冒頭の質問を調べるために「サンタクロース」という見出し
     で引いてみましょう。

     それによれば「子ども服白書」の156ページに『サンタクロースを
     信じていた?』というアンケートがあるようです。
     しかる後に現物をあたってみたところ、だいたい10歳くらいまで信
     じているようです。まぁそんなもんでしょうね。

     (ちなみに13歳から18歳の男女のうち15%が「いまでもサンタクロー
     スを信じている」そうです。そちらのほうが驚きです。)

     こうして結果を見ると「そんなもんだろうな」と感覚と一致するこ
     とも多いのですが、レファレンスの現場では「私の推測はこうです」
     と答えてはならず資料を探して質問者に提示しなければなりません。
     なので、白書の各種統計を、キーワードからすぐに探し当てられる
     「白書統計索引2007」は現場においてかなり有用なツールとなるの
     です。

     経験豊富な司書の方なら「必要な統計がどの白書に載ってるかは、
     だいたいわかりますよ」とおっしゃるかもしれません。確かにその
     通りだと思います。

     しかし先ほどのような質問で、すぐに資料を探すのはちょっと悩み
     そうです。

     また「高齢化」や「原油高」といった社会全体に影響を及ぼしてい
     るような問題においては、「高齢社会白書」や「エネルギー白書」
     だけではなく「モバイル社会白書」や「レジャー白書」といった多
     岐に渡る資料の当該統計を提供することによって、利用者が問題を
     複眼的に分析する手助けをすることができるのです。

     今版では前版より白書を10種増やし、100種とボリュームアップしま
     した。
     また“を見よ検索”“をも見よ検索”を充実させ、例えば「疾患」
     からでも「病気」からでも引くことができるようにするなど、利用
     者の便宜をはかりました。

     所蔵白書の有効利用に、学生のメディアリテラシー教育に、ぜひ選
     書をご検討ください。

                           (編集部・原沢)

      ◆ 『白書統計索引2007』
         日外アソシエーツ〔編〕
         定価 26,250円(税込) A5・810p 2008年3月刊
             ISBN:978-4-8169-2096-7

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     ╋■╋■╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■╋■╋ スポットライト・コラム
     ╋■╋    ― 映画作品と原作の設定の相違も判る
    ■╋                        『日本映画原作事典』
     ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     今年2月13日、市川崑監督が亡くなりました。
     享年92歳は大往生とも言えそうで、「映画は天職」という口ぐせには、
     ちょっと羨ましささえ感じてしまいます。

     市川監督は、巨匠でありながら様々な表現に挑戦していましたが、文
     芸作品には特に定評がありました。代表作として「ビルマの竪琴」「野
     火」「こころ」「おはん」などが挙げられますが、これらの作品は、
     それぞれの原作がまたすばらしい名著でもあります。
     市川監督の訃報を機会に映画を鑑賞した後は、原作となった文学作品
     にも触れたくなるかもしれません。

     そうした際に、映画作品名からその原作を調べることができるのが、
     「日本映画原作事典」です。映画作品6000本の基本情報と原作名、原
     作の図書情報を得ることができます。
     映画タイトルと原作名が同じものは、図書情報にも比較的楽に行き着
     くことができますが、映画化にあたってタイトルを原作名と違えてい
     るものも数多くあります。

     市川監督の作品で言えば次のようなものです。

     ---------------------------------------------------
     「炎上」 ←三島由紀夫「金閣寺」

     「どら平太」 ←山本周五郎「町奉行日記」

     「幸福」 ←エド・マクベイン「クレアが死んでいる」
     ---------------------------------------------------

     本書ではこのような作品名の違いも一目で見てとることができますし、
     巻末には「原作名索引」を付与していますので、原作名から映画タイ
     トルを調べることもできます。

     市川監督の長編の遺作となった「犬神家の一族」を引くと、映画の解
     説、原作の内容の両方を読むことができます。

     ---------------------------------------------------------------
     【映画の解説】
     76年に製作され大ヒットした横溝正史原作ミステリーを、豪華キャス
     トを迎え市川崑監督自らが再びメガフォンをとり完全リメイク。金田
     一耕助役はオリジナル版と同じく石坂浩二が演じる。信州の犬神財閥
     の創始者・犬神佐兵衛が永眠した。佐兵衛には腹違いの3人の娘、松子、
     竹子、梅子がおり、それぞれに佐清、佐武、佐智という息子がいた。
     しかし、公開された遺言状には、3人の孫のいずれかとの結婚を条件に、
     遺産すべてを佐兵衛の恩人の孫娘・野々宮珠世に譲渡する、と記され
     ていた。やがて、遺産を巡って凄惨な殺人事件が発生、名探偵・金田
     一耕助が事件の解決に乗り出すが…。

     【原作の解説】
     犬神財閥の創始者・犬神佐兵衛が残した遺書。それによると、遺産は
     諏訪神社の神主・野々宮大弐の孫娘・珠世が、三人の孫(佐清、佐武、
     佐智)のうちから婿に選んだものに与えるという…。莫大な遺産を巡
     り激しく憎みあう犬神家の人々。そしてこれは、次々と起こる惨劇の
     幕開けに過ぎなかった。
     犬神家の家宝「斧・琴・菊」と関係づけられた凄惨な連続殺人の数々
     に金田一耕助が挑む…。テレビで映画で、常に大ヒットとなった話題
     のオリジナル作品。
     ---------------------------------------------------------------

     この映画の場合は設定があまり変更されていないことが判りますが、
     市川監督と"四騎の会"を結成した黒澤明監督の「椿三十郎」の解説を
     読むと映画と原作の設定の相違があることが感じられ、そうした点で
     も興味深い読み物になっています。(こちらの方は、実際の本でご覧
     下さい!)

     映画を見てから読むか、原作を読んでから見るか。
     迷ったときにはぜひ、本書を手にとってみてください。

                            (編集部・松本)

      ◆ 『日本映画原作事典』
         スティングレイ・日外アソシエーツ〔共編〕
         定価 12,600円(税込) A5・850p 2007年11月刊
             ISBN:978-4-8169-2074-5
          http://www.nichigai.co.jp/sales/2074-5.html

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     ╋■╋■╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■╋■╋ スポットライト・コラム
     ╋■╋    ― カトリシズムを縦糸に、昭和精神史を横糸に織りなす
     ■╋      意欲的評論集
     ╋                             『須賀敦子と9人のレリギオ』
     ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     
     須賀敦子-その人と名前は一度は聞かれたかたは多いと思われます。
     あるいは熱心な読者も多くおられるでしょう。
     私事で恐縮ですが、わたしの母親(1929年生まれ)と同年代、十数年
     前、本人著の表紙をスーツ姿の須賀さんが飾っており、母親の着てい
     たものと襟のところなどデザインが随分と似ているなあ、とその時代
     を彷彿とさせたことでした。
     1929年は昭和4年ですので、副題の言うように、須賀さんの生きた時代
     や思考の足跡はまさしく、「昭和の精神史」です。

     昭和の精神史、というと例えば、日本浪漫派や永井荷風・三島由紀夫
     などの分析に優れた桶谷秀昭『昭和精神史』を思い出しますが、本書
     は「カトリシズム」に関わった人の論考、それも作家、科学者、司祭、
     彫刻家、皇室等々と間口広く渉猟しており、斬新な企画内容と思われ
     ます。

     問題の提起も、また幅広く、色々なことを考えさせてくれます。
     例えば、著者とお付き合いすることによって、リトルギア(典礼)と
     いうことばを知りました。これは、プロテスタントが、「聖書」とい
     うテクストを中心に信仰を深める、というに対して、典礼の持つ意味
     を信仰に結びつけようというものであるようですが、これは「身体論」
     を考える上で随分と参考になると思いました。

     文芸評論家の富岡幸一郎氏は、書評でこういっておられます。
     「リトルギア(典礼)とは、個人を超えた「形」の思想であり、それ
     は来歴の身体化であり、宗教的にいえば見えざる神との対話の可能性
     であった。実はこのラテン語のリトルギアは、著者によれば「始源の
     なぞり」の意味で「複製」の謂であり、それは絶えざる反復によって
     維持されることで「常にオリジナル」になるという。…このテーマは
     そのまま日本の天皇(制度)との比較を招かずにはおかないであろう」
     (http://nichigai.blog.shinobi.jp/
     (最後のところの論究など出来たら、面白いでしょう。著者の次作に
     期待したいところです)

     また、須賀さんの共同体論については、「人々の対話のなかに、協同
     のなかにこそ精霊が働いている、われわれは親しい人々の関係の中に
     死んでいく・・・」という美しい言葉で語られています。廻りとの関係に
     ついて須賀さんはこういう見方をしていたのかと。須賀さんは名文家
     といわれますが、この辺が、ファンを引きつけて已まない須賀さんの
     思想の真骨頂なのか、と思ったことでした。

     本書ではさらに、村上陽一郎氏の科学観の解釈、小川国夫氏の銃後の
     戦争体験、皇后陛下の短歌・長歌等々、我々が通常触れることのない
     世界を、カトリシズムを縦糸に、昭和精神史を横糸によく織りなされ
     ていて、当たり甲斐があります。ただし難しいのではありますが・・・。

     参考までに、私の地元では、4つの図書館が全て購入していただいて
     おり、関心が高いのか、いつも貸し出し中となっております。
     有り難いことです。
                             (編集部・朝日)

      ◆ 『須賀敦子と9人のレリギオ―カトリシズムと昭和の精神史』
         (日外選書Fontana) 神谷 光信〔著〕
          定価 3,800円(税込) 四六判・220p 2007年11月刊
          http://www.nichigai.co.jp/sales/2070-7.html

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     ■╋■╋ スポットライト・コラム
     ╋■╋    ― 図書館の発展に尽くした人物の本格的な評伝集
     ■╋      『図書館人物伝―図書館を育てた20人の功績と生涯』
     ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     
     本書は、図書館史の人物評伝集です。日本篇・外国篇各10人、計20人
     の評伝が収録されています。
     日本図書館文化史研究会の創立25周年記念として編集された論文集で
     もあります。
     では、どのような人物をとりあげているのでしょうか。
     巻頭の「被伝者の光と影」で研究会代表の阪田蓉子先生は「研究者で
     あったとか,著作物があるとか,あるいは大規模な図書館の長として
     活躍していた人物には,当人に関る資料,情報が多くある,このよう
     な人たちに比べ,図書館の実務畑で,地道に仕事をしていた人物に関
     する情報が残されている例が少な」い、と述べておられます。

     図書館サービスは、実際の業務を支えた人々の貢献があってこそ、発
     展してきました。本書にとりあげられているのは、そうした図書館史
     の貢献者です。

     人物の顔ぶれを見てみましょう。

     〔日本編〕
      佐野友三郎 (1864-1920) 県立秋田図書館長時代の事績をたどる
      乗杉嘉壽 (1878-1947) 図書館員教習所設立に尽力
      松本喜一 (1881-1945) 帝国図書館長・日本図書館協会理事長
      森清 (1906-1990) 図書館に導いた間宮との交流をたどる
      大西伍一 (1898-1992) 府中市立図書館初代館長
      村上清造 (1901-1987) 富山県の図書館発展に尽力
      叶沢清介 (1906-2000) 県立長野図書館でPTA母親文庫を創始
      湯浅吉郎 (1858-1943) 府立京都図書館長の事績を再評価
      志智嘉九郎 (1909-1995) レファレンスサービスを推進
      島尾敏雄 (1917-1986) 鹿児島県立図書館奄美分館長

     〔外国編〕
      ヴァルター・ホーフマン (1879-1952) ドイツ公共図書館論を提唱
      リリアン H.スミス (1887-1983) 米トロント市の児童図書館員
      ジョン・S.ビリングス (1838-1913) ニューヨーク公共図書館長
      ジョン・C.デイナ (1856-1929) 米ニューアーク公共図書館長
      メアリー・レミスト・ティッコム (1857-1932) 馬車図書館を創始
      ピアス・バトラー (1884-1953) シカゴ大学で研究・教育
      キーニー (1891-1962) 戦後日本の図書館再建構想を示す
      ジェシー・H・シェラ (1903-1982) 米図書館界人物事典を編集
      セーチェーニ F. (1754-1820) ハンガリー初の公共図書館の設立者
      H.E.アニュアール (1928-1988) シンガポール国立図書館長

     各人物について、図書館史の気鋭の研究者が一次資料にあたり、読み
     解き、時間をかけて執筆されています。現在では当然のような制度や
     サービスが、どのような人たちによって創られ、普及していったのか
     を、各評伝から読み取ることができます。

     このコラムをご覧の方は、レファレンスなどの図書館業務に携わって
     おられる方が多いと思います。図書館を支えるスタッフ、図書館サー
     ビスのあり方は、変貌しつつあります。このような時こそ、「先人の
     業績を知り,その成果を学ぶという姿勢が今こそ必要ではないか」
     (「志智嘉九郎の業績について」p187より)と考えます。

     本書で、図書館の歴史を築いた先人たちの業績を繙いてみてはいかが
     でしょうか。
                             (編集部・城谷)


      ◆ 『図書館人物伝―図書館を育てた20人の功績と生涯』
         (日外選書Fontana) 日本図書館文化史研究会[編]
          定価 4,800円(税込) A5・470p 2007年9月刊
          http://www.nichigai.co.jp/sales/tosyokanjinbutsu.html

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     ╋■╋■╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■╋■╋ スポットライト・コラム
     ╋■╋   ―英文学の背景にある「窓」と「窓文化」を理解する
     ■╋         『イギリス「窓」事典 ― 文学にみる窓文化』
     ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     
     日本とイギリス。2つの国には共通点が多く、イギリスに対し親近感を
     持つ日本人は多いと言われています。例えば、両国とも大陸のはずれ
     にある島国、両国とも皇室・王室を戴いている、古い歴史や伝統・武
     士道や騎士道を重んじる気質がある、日本(本州以南)は梅雨があり
     イギリス(特にロンドン)は霧が有名、議院内閣制で政体も似ている、
     ゴシップ好き(?)、などなど。特に明治35年の「日英同盟」締結以来、
     日本は“東洋の英国”を目指した時期があり、イギリスという国に憧
     れを持つメンタリティが日本人の中に今も少なからず残っているとい
     えるでしょう。

     ただ「古いものを大切にする」といっても、こと建築物に関しては、
     その内実は少し違っているかもしれません。日本の場合、歴史的建造
     物は“文化財”として大切にされる傾向が強いように感じられます。
     ご承知のように日本では木造建築が中心で、地震・噴火・火災により
     失われることが多かったため、風雪に耐えて残っている建築物は貴重
     です。白川の合掌造り等は現在も住まいとして使われていますが、多
     くの場合は「文化遺産として保存」されるべきものという意識が強い
     ようです。
     一方イギリスの場合は、まず地震災害がほとんどありません。また歴
     史的建造物は石造りやレンガ造りのものも多く、火災によって焼失す
     る可能性も日本ほどではなく、きちんと手入れをすれば機能を維持し
     たまま残していけます。したがって築100年、150年という一般住宅も
     珍しくなく、古いものも多くの場合は「手入れをしながら実用」する
     べきものという意識が強いようです。そんなこともあってか、イギリ
     スでは街並みの普通の風景として、さまざまな時代・意匠・様式の建
     築物が仲良く並んでいるのを見ることができます。

     本書『イギリス「窓」事典 ― 文学にみる窓文化』(三谷康之著)は、
     こうしたイギリスの建築物のなかでも「窓」にスポットをあてて、語
      彙の説明・文化的背景の解説、文学作品での用例を詳述した書籍です。
      柱や梁といった骨組みから作られているため、大きな開口部の窓を容
      易に配することができる日本建築とは異なり、建物の重量を壁全体で
      支えていたイギリスの歴史的建造物の場合、大きな窓は建物の強度に
      直接関わるものでした。庶民にとって「窓」は“贅沢品”という感覚
      で、またガラスがまだまだ高価だったことから、いわば富の象徴とも
      なっていたようです(「窓税」なるものもありました)。そのためか
      古来イギリスの「窓」には凝った意匠のものが多く、それに伴って様
      様な名称や語彙が生まれてきました。しかし日本人にとって、そうし
      た背景を知った上で、窓の名称や周辺語彙を正しく理解するのは大変
      難しいことです。本書の冒頭で著者も述べていますが、英和辞典・英
     英辞典を見ても載っていない言葉がとても多く、また載っていたとし
     ても言葉による説明だけでは具体的イメージがわかない事がしばしば
     だからです。

     本書では、一般家屋から教会建築・歴史的建造物まで40種330に及ぶ
     「窓」の名称を収録。また300枚以上の写真(ほとんどが著者撮影)
     を掲載し、‘blind window’‘bull's-eye glass window’‘chimny
     window’‘fire window’など日本人がイメージしにくいものも、ビ
     ジュアルに理解できることを目指しました。また95人の作家の187作
     品から「窓」にまつわる文例のべ423編を紹介。英文学作品のなかで
     「窓」がどのように表現されているかをわかりやすく解説しています。
     英文学の背景にある「窓」と「窓文化」を理解するために、また英和
     翻訳に役立つ専門事典として、是非ご一読下さい。

                            (編集部・尾崎)
     
      ◆イギリス「窓」事典 ― 文学にみる窓文化
       三谷 康之 著 定価 9,600円(税込) A5・480p 2007年12月刊

     【好評既刊】
      ◆イギリス紅茶事典 ― 文学にみる食文化
       三谷 康之 著 定価 6,930円(税込) A5・270p 2002年5月刊

      ◆事典・イギリスの橋 ― 英文学の背景としての橋と文化
       三谷 康之 著 定価 6,930円(税込) A5・280p 2004年11月刊

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