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     米国のGoogleブック検索に対する集団訴訟の和解案が日本の出版界に波
     紋を投げかけています。この和解案に参加するか否かの回答期限は、当
     初5月5日でしたが、9月4日まで4ヶ月延長されることになりました。

     日本文藝家協会は、「和解案の影響は世界各国に及び、各国の著作権者
     を米国の法律・手続きによって一方的に拘束する極めて不当なものだ」
     として抗議声明を出しましたが、今回の延長は各国の権利者に和解案に
     ついて考える時間を与えるための措置と思われます。

     和解案が効力を発揮するには、全世界の著作権者からの合意がとれてい
     ると証明する必要があります。反対意見が多ければ、集団訴訟としての
     和解案自体が成立しない可能性もあるそうです。

     Google の使命は単純明快で、「世界中の情報を体系化し、どこからで
     もアクセス可能なものにすること」だそうです。Web 検索同様、紙媒体
     の書籍やその中の情報まで一般の人たちがインターネットで探せるよう
     にするという壮大な計画もその一環です。

     まず英米の主要図書館と提携し、米国著作権法上のフェアユース(公正
     利用)を掲げ、蔵書700万点のデジタル化を済ませました。その結果、
    「著作権を侵害した」として、2005年、米国出版社協会やAuthors Guild
     に訴えられます。

     そして2008年10月、無許諾で既にデジタル化した書籍に対して Google
     が補償金を支払い、今後も蔵書(2009年1月5日以前に出版された書籍)
     のデジタル化を推し進め、そのデータベースアクセス権の販売や広告で
     得られる収益を権利者に分配するという和解案の合意に至ったのです。
     今秋、和解案が正式に認可されれば、Google は書籍のデジタル化を継
     続し、商用利用する正当な権利を得ることになります。

     このビジネスは米国内に限定されると言うものの、デジタル化された蔵
     書には「和書」も多数含まれるため、日本の著作権者、出版社も否応な
     くこの米国の民事裁判に巻き込まれているのです。

     先日、法律家による、出版社向けの「和解問題」緊急セミナーを聴講し
     ました。それによると、Google は図書館が所蔵していて「流通してい
     ない書籍」に焦点を当て、絶版または市販されていない書籍の、新しい
     再流通モデルを構築しようとしているとのこと。現在、市場に流通して
     いる新刊はネット書店その他に任せておき、流通していない膨大な書籍
     のコンテンツを検索可能にすることに“商機”を見い出したのではない
     かと。

     特筆すべきは、著作権問題をクリアする手段として、オプトアウト(離
     脱)方式を採用したことです。「異議のある関係者は期限内に申し立て
     せよ、沈黙は許諾と見なしますよ」というわけです。世界中の、億単位
     の出版物をデジタル化するにあたって、個別に権利者と交渉していたの
     では埒があかないことは容易に想像がつきますが、随分と乱暴なやり方
     です。しかしながら、不特定多数の人々が情報をやりとりするネット社
     会においては、オプトアウト方式も否応なく「許諾権」の一つとして法
     的に認められるようになってしまったとのこと。

     なお、「ブック検索」登録に当たって「米国内で流通しているか否か」
     の判断は、Google 側が機械的に行い、間違い(異議)があれば個別に
     申告することで「除外」できるようにしています。これにより、ある程
     度、権利者の意思を汲み上げると同時に、図書館の蔵書の7割近くを占
     めると言われる曖昧な著作権者を特定できる仕組みです。

     ちなみに「和書」は米国内で一般的に流通していないため、日本で市販
     中の書籍の殆どが絶版扱い=「ブック検索」の対象にされてしまいます。

     今回の和解案は、Google 基準に拠る「書籍の再流通」というビジネス
     モデルに著作権者・出版社が便乗するかどうかが問われており、これは
     一裁判所の判断に委ねるような問題ではなく、従来の出版事業が大きく
     転換する可能性を秘めた、国家レベルの問題ではないかという重い言葉
     でセミナーは締めくくられました。日本出版著作権協会(JPCA)も「出
     版文化の防衛の問題」として捉えています。

    「ブック検索」に登録されることで、図書館の書庫にひっそりと埋もれ
     た膨大な書籍が再びネットで日の目をみてアクセスできるようになり、
     著作権者や出版社にも応分の利益が還元される…よくできたスキームで
     す。図書館側もエンドユーザーも「ブック検索」を利用できるメリット
     は大きいでしょう。

     ただ、それを一手に担うのが果たして私企業である Googleでよいのか
     どうか。日本の出版文化が、Google のシステム上で一元的に管理され
     ることに違和感を覚える人も少なくないでしょう。

     このまま「ブック検索」が浸透し、ビジネスモデルとしてデファクト・
     スタンダードになり得るのか。出版社は意思表示を求められています。


     ★「ネットも本も」覇権握るグーグル:
     http://it.nikkei.co.jp/business/netjihyo/index.aspx?n=MMITs2000028112008

     ★ 孤児(絶版本)の親権:Google 電子図書館の「独占」に疑義:
     http://www.intelogue.com/2009/04/04/google_parent_of_orphans/

                         (ネット販促課・竹村)
     

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